【建設アスベスト訴訟】大阪訴訟原告団・弁護団声明

【建設アスベスト訴訟】大阪訴訟原告団・弁護団声明

2021.02.25

声  明

2021年2月24日

 

関西建設アスベスト大阪訴訟原告団・弁護団

関西建設アスベスト訴訟統一本部

1 本決定の内容

 2021年2月22日、最高裁判所第一小法廷(深山卓也裁判長)は、関西建設アスベスト大阪1陣訴訟(原告数32名、被害者数19名)において、国の上告受理申立を不受理とするとともに、原判決で国の責任が否定された解体作業に従事する「一人親方」の被害者1名(原告1名)に関する原告側の上告受理申立を受理し、口頭弁論期日を本年4月19日に指定しました。

 これにより、国の責任について、大阪高等裁判所第3民事部(2018年9月20日、江口とし子裁判長)判決が、被害者19名中17名(原告32名中30名)に対する関係で確定しました(国確定賠償額は総額約2億1800万円)。

 また企業の責任については、原判決で責任が認められた被告企業8社のうち、積水化学工業を除く7社(エーアンドエーマテリアル、神島化学工業、大建工業、ニチアス、日東紡績、ノザワ、エム・エム・ケイ)の上告及び上告受理申立につき上告棄却・不受理と決定しました。これにより、被害者19名中11名(原告32名中13名)との関係で、7社の責任が確定しました(企業確定賠償額は総額約1億1000万円)。

 もっとも、原判決で1974年以前の就労とされ、国・企業の責任が否定されていた被害者1名(原告1名)については、不当にも原告側の上告受理申立が不受理とされ、司法の場においては敗訴が確定しました。

 

2 国の責任

 本決定は、先行する首都圏建設アスベスト東京1陣訴訟最高裁決定(2020年12月14日付)、関西建設アスベスト訴訟京都1陣訴訟最高裁決定(2021年1月28日付)に続き、国の規制権限不行使の責任を確定させた3つめの決定です。

 本決定は、原判決が国の責任割合を2分の1としていた点に関して国の上告受理申立を排斥し、原判決を確定させました。原判決は、石綿含有建材の普及は国の住宅政策に起因する面があること、製造・使用の禁止にかかる規制権限不行使の違法があること等を指摘し、他の高裁判決が国の責任割合を3分の1としていたのとは異なり、国をより厳しく断罪していましたが、本決定はこれを是認しました。

 石綿工場内でのアスベスト被害に関する国の責任割合については、泉南アスベスト国賠2陣訴訟最高裁判決(2014年10月9日)が、国の責任割合を2分の1とした同大阪高裁判決(2013年12月25日)の判断を是認し、現在国は、同種の石綿工場内における被害において2分の1の責任割合を前提に賠償を行っています。泉南アスベスト国賠訴訟に続き、最高裁が建設アスベスト訴訟でも国の責任割合を2分の1とする判断を確定させたことは、本件訴訟の原告らの救済にとどまらず、今後の建設アスベスト被害者の救済にとっても極めて大きな意義を有するものです。

 さらに本決定は、原判決が他の高裁判決とは異なり唯一認めていた、白石綿を含むすべての石綿含有建材の製造・使用を禁止することが遅れた国の責任(1991年末時点)についても、国の上告受理申立を不受理としました。製造・使用禁止はあらゆるアスベスト被害防止の根本的な規制・対策です。この点の責任を認めた原判決を是認した本決定は、最高裁の最終判断を見る必要はあるものの、今後さらに増加する建物の解体・改修時のアスベスト被害はもちろんのこと、災害時やその後の復興作業によるアスベスト被害、さらには周辺住民を含めたすべてのアスベスト被害について救済の道を拡げる可能性を示唆するものです。

 加えて本決定は、建築現場において労働者と同様に石綿ばく露作業に従事する一人親方・事業主に対する国の責任を、東京1陣訴訟、京都1陣訴訟に続いて確定させました。原判決では、解体作業に従事する一人親方に対する国の責任が否定されていましたが、本決定が原告側の上告受理申立を受理し口頭弁論を開くこととなったため、原判決が見直される見通しとなりました。最高裁には従事した作業で線引きせず、すべての一人親方等を救済する判決を強く求めます。

 なお、国の責任の違法期間や違法事由の範囲等に関する最終判断は現時点では不明ですが、最高裁には救済範囲をできる限り拡げる方向での積極的な判断を期待します。

 

3 建材メーカーらの責任

 本決定は、京都1陣訴訟に続き、シェアと確率論を用いて被害者ごとに特定された主要原因企業らが、共同不法行為者として連帯して損害賠償責任を負うべきことを明確にしました。

 被告企業らに対する責任追及においては、被告企業らが長期に亘って様々な石綿含有建材を製造・販売してきたこと、被害者らが多数の建築現場で石綿粉じんにばく露したこと、さらに、石綿関連疾患が長期の潜伏期間を経て発症すること等から、被害者らの発症に関わった主要原因建材・企業を特定することが極めて困難でした。しかし、相次いで出された最高裁決定により、シェアと確率論を用いて被害者ごとに主要原因建材・企業を特定する立証方法の正当性が認められ、このことによって、アスベストの危険性を警告することなく石綿含有建材を製造・販売してきた被告企業らの共同不法行為責任が認められることになりました。

 被告企業らは、こうした最高裁の判断を真摯に受け止めるべきであり、同時に、アスベストの危険性を警告することなく石綿含有建材を製造・販売したすべての建材メーカーらも一連の最高裁の判断を重く受け止めるべきです。

 なお、積水化学工業については、屋外作業に従事した1名の被害者(原告5名)との関係で受理決定がなされたため、同社の責任を認めた原判決が見直される可能性があります。しかし、たとえ屋外で使用される建材であっても、建築作業従事者が石綿粉じんにばく露し、石綿関連疾患を発症する危険性には何ら変わりはなく、かつ建材メーカーがこれを予見することは十分に可能でした。原告らはこのことを来る弁論期日において、最高裁に強く訴えるものです。

 

4 被害救済の範囲・賠償額

 本決定では、労災認定を受けた被害者のみならず、石綿救済法による認定を受けた被害者に対する関係でも、国・企業の責任が確定しました。建築作業従事者の被害は、現在でも、労災認定者が約8700人、これに石綿救済法認定者(一人親方等含む)も含めると約1万3600人にも上り、今なお毎年数百人規模で増え続けています。本決定を踏まえ、さらなる被害の掘り起こしとその救済が図られるべきです。

 また、1名の被害者は、石綿関連疾患に罹患し、病苦により自死した被害者でしたが、本決定は、自死についても国の規制権限不行使及び被告企業らの注意義務違反との因果関係を認めた原判決を是認しました。このことは、アスベスト被害の悲惨さを直視したものであり、大きな意義があります。

 さらに、前記2及び3で述べたとおり、本決定は、原判決が国の責任においても被告企業らの責任においても、その責任割合・寄与割合を被害者救済の方向でより前進的に認定していた点も是認しました。この点も、被害の深刻さを直視したものであり、高く評価できます。

 

5 すべてのアスベスト被害の救済・根絶に向けて

 2008年5月16日に首都圏建設アスベスト訴訟が提訴されてからすでに12年9か月、2011年7月13日に大阪1陣訴訟を提訴してから9年7か月、この長きにわたり、建設アスベスト訴訟は、「あやまれ、つぐなえ、なくせアスベスト被害」を掲げて闘ってきました。その間に、多くの被害者が解決を見ることなく亡くなり、全国の裁判に立ち上がった被害者約900名のうち実に7割以上が亡くなっています。

 国と被告企業らは、度重なる敗訴判決を受けてもなお自らの責任を認めてきませんでした。私たちは、最高裁においてその責任が明確になった今こそ、国と被告企業らに対し、大阪訴訟の原告ら被害者に真摯に謝罪するとともに、建設アスベスト訴訟を直ちに全面解決することを強く求めます。そして、すべての建設アスベスト被害者が迅速に救済を受けられる補償基金の創設を強く求めるものです。

 アスベストは、重大な危険性が明らかであったにもかかわらず、約1000万トンが輸入され、ばく露防止の規制や対策がとられないまま、アスベスト製品の製造・加工・使用の各現場でのばく露、家族ばく露や環境ばく露、建物居住者のばく露、解体・改修・廃棄時のばく露などあらゆる場面で、重篤な石綿関連疾患を発生させてきました。その中でも、輸入されたアスベストの7~8割が建材に使用されたため、建設アスベスト被害は、わが国最大のアスベスト被害として進行しています。石綿含有建材が使用された建物は今なお200万棟を越えて存在しており、十分な飛散・ばく露防止対策がなされないまま、建物の解体・改修作業、災害による倒壊やその後の復興作業、廃材の処理などにより、新たなアスベスト被害が発生することが危惧されています。

 建設アスベスト訴訟の原告らは、自らの被害救済はもちろん、加害責任を明確にすることなくして万全な規制や対策はありえないこと、二度と同様の被害を出させてはならないことを訴え続けて、長い裁判を闘ってきました。今般の国と建材メーカーの法的責任の確定を契機として、建物解体・改修時、廃材処理時のアスベスト飛散・ばく露防止、また災害時に備え石綿含有建材を使用した建物の維持管理に関する規制・対策等の徹底がなされるべきです。さらに、建材メーカーは、今からでも広く石綿含有建材の使用状況や危険性情報を提供するなど、被害を発生・拡大させた原因者として、その社会的責任を果たすべきです。

 建設アスベスト訴訟における法的責任の確定は、被害の救済と根絶のための闘いの一里塚に過ぎません。私たちは、すべてのアスベスト被害の救済と根絶に向けて、今後も努力を惜しまず奮闘する決意です。

                                         以 上

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