建設アスベスト訴訟(建設アスベスト給付金) - 大阪アスベスト弁護団

建設アスベスト訴訟とは

建設アスベスト訴訟とは、建設現場で働き、建材に含まれるアスベストが原因で、病気になった方々が、国と建材メーカーに対して損害賠償を求めた訴訟です。私たち(原告団、弁護団)は、最高裁判所で勝利を勝ち取りました。

 建設現場で働き、石綿肺、中皮腫、肺がん、びまん性胸膜肥厚等を発症した方は、国から最大1300万円、建材メーカーから数百万円~最大2000万円程度の支払いを受けられる可能性があります。

詳しく見る

 わが国では、輸入されたアスベストの7~8割が、吹付材、石綿スレートボードなどの石綿建材に使用されてきました。そのため、建設業ではアスベストによる健康被害が大量に発生しています。
 建設作業者に多くの被害が出たのは、建材メーカーが、石綿の危険性などの警告もせずにアスベスト建材を大量に製造販売したことと、国が適切な規制を行わないどころか、石綿建材の製造販売を後押ししたことが原因です。
 そこで、東京、神奈川、北海道、京都、大阪、九州で、被害者が国と建材メーカーの責任を追及して裁判に立ち上がりました。
 建材メーカーの責任と一人親方も含めた国の責任が大きな課題でしたが、全国の原告団・弁護団・支援が、10年以上に及ぶ裁判を、力を合わせて闘った結果、2021年5月17日、最高裁判決を勝ち取りました。

首相官邸にて原告らに頭を下げる菅首相
(2021年5月18日)

 最高裁判決の翌日には、菅総理大臣が、首相官邸に原告らの代表を招いて謝罪しました。
また、最高裁判決を受けて、原告団・弁護団・支援と国との間で基本合意が締結されました。来春には、国が自らの責任部分について給付金を支給する制度(建設アスベスト給付金制度)がスタートします。
 しかし、建材メーカーは、最高裁で責任が認められたにもかかわらず、被害救済に背を向け、和解にも制度作りにも応じようとしません。そのため、現在も、建材メーカーに対する訴訟が各地で続いています。

国からの給付金(建設アスベスト給付金制度)

最高裁判決を受けて、2021年6月9日、「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律」が成立しました。
 建設現場で働き、アスベスト関連疾患を発症された方やそのご遺族の方々は、国から給付金の支払いを受けられる可能性があります。

■ 制度概要
(対象者)
  1. 次の期間ごとに、対象となる石綿にさらされる建設業務に従事したこと
    ・1972(昭和47)年10月1日~1975(昭和50)年9月30日
     石綿の吹付け作業に係る建設業務
    ・1975(昭和50)年10月1日~2004(平成16)年9月30日
     一定の屋内作業場で行われた作業に係る建設業務(吹付け作業を含む)
  2. そのために、石綿肺、中皮腫、肺がん、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水など石綿関連疾患を発症したこと
  3. 労災認定、じん肺管理区分決定(管理2~4)または、石綿救済法認定を受けていること

 給付額は、行政認定や病状に応じ、最大で1300万円です。

 手続の詳細につきましては、厚生労働省の該当ページをご確認ください。
  「建設アスベスト給付金制度について」(厚生労働省HP、外部リンク)

■ 建設アスベスト給付金制度Q&A

Q.建設アスベスト給付金は、いつでも受け取れるのでしょうか。
A.給付金については、石綿関連疾病にかかった旨の医師の診断日又は石綿肺に係るじん肺管理区分の決定日(石綿関連疾病により死亡したときは、死亡日)から20年以内に請求をする必要があります(※期限内に請求書面の必着を要します)。
期限を超えた場合は、給付金が請求できなくなりますので、ご注意ください。

Q.被災者本人は既に亡くなっているのですが、給付金は受け取れますか。
A.はい、受け取れます。ご本人がお亡くなりになられている場合、ご遺族(配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹)からの請求が可能です。

Q.既に労災認定(あるいは石綿救済法認定)を受けており、給付も受けています。建設アスベスト給付金を受け取ると、労災の支給が打ち切られたり、減額されてしまうのでしょうか。
A.ご安心ください。建設アスベスト給付金を受給することにより、労災保険や石綿救済法による給付が減額されたり打ち切られることはありません。

Q.労災認定を受けている場合でも、建設アスベスト給付金を申請するにあたって、職歴や石綿ばく露実態について改めて説明しないといけないのでしょうか。
A.労災認定を受けている方は、労災支給決定等情報提供サービスを利用することで手続がスムーズになります。同サービスについての詳細は、厚生労働省のホームページをご覧ください。
「建設アスベスト給付金制度について」(厚生労働省HP、外部リンク)

Q.労災支給決定等情報提供サービスを申請したら、「非該当」と通知されました。この場合、受給はできないのでしょうか。
A.労災支給決定等情報提供サービスを申請した結果、「非該当」と通知された方でも、個別事情によって給付金の対象となる可能性があります。お悩みの際は当弁護団までお気軽にご相談ください。

Q.労災認定を受けておらず、石綿救済法による認定を受けているだけです。どのような手続になりますか。
A.石綿救済法による認定を受けておられる方が建設アスベスト給付金を申請する場合、労災支給決定等情報提供サービスの利用はできず、ご自身で職歴や石綿ばく露実態について調査し、資料を提出する必要があります。専門的な知識と経験を要しますので、お悩みの際は当弁護団までお気軽にご相談ください。

■ 弁護士費用(建設アスベスト給付金申請)
着手金 なし
報酬金 支給額の5.5〜11%(税込)
実費 医療機関に対する意見照会費用、通信費、各種書類取り寄せ費用等)が必要となる場合があります。

建材メーカーからの賠償金

 国からの給付金とは別に、建材メーカーに対しても裁判で賠償金を請求できる可能性があります。
 すでに、最高裁判決により、多くの被害者の方々が、建材メーカーに勝訴し、賠償金を受け取っています。

最高裁判決後の建材メーカー訴訟・勝訴判決
(2023年6月30日)

■ 対象者
  • ①概ね1975(昭和50)年頃以降、一定の屋内作業場で行われた建設業務に従事していた方(一人親方・中小事業主等を含みます)。
  • ②そのために、石綿肺、中皮腫、肺がん、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水など石綿関連疾患を発症した方 、あるいはそのご遺族。

※労災認定、じん肺管理区分決定(管理2~4)または石綿救済法認定を受けている方。
※労災保険や石綿救済法による給付を受けていても、支給が打ち切られたり減額されたりすることはありませんのでご安心下さい。

■ 賠償金の請求期限

 賠償金は、石綿関連疾病にかかった旨の医師の診断日又は石綿肺に係るじん肺管理区分の決定日(石綿関連疾病により死亡したときは、死亡日)から20年以内に請求をする必要があります。

 期限を超えた場合は、賠償金が請求できなくなりますので、ご注意ください。

■ 賠償金の金額

数百万円~2,000万円程度(判決によって異なります)
※症状の程度や就労の期間、時期などによって変わります。

■ 建材メーカーから賠償金を受け取る手続

訴訟手続

※現在、建材メーカーから賠償金を受け取るためには、訴訟提起が必要です。私たち弁護団は、建材メーカーに対し、訴訟手続の中で和解協議に応じるよう求めています。

■ 弁護士費用 建設アスベスト訴訟【建材メーカーに対する損害賠償請求】
着手金 なし
報酬金 賠償金の22%(税込)
実費 原則として着手時に印紙代10万7000円が必要です。

残された課題

建材メーカーの不当な対応

建材メーカーは、アスベストの危険性を知りながら、それを警告せずに、それどころか安全性をアピールして、大量の石綿建材の製造販売を続け、大儲けをしてきました。最高裁判決は、こうした建材メーカーの責任を明確に認めました。

 最高裁判決で賠償責任が確定した建材メーカーは以下の通りです。

エーアンドエーマテリアル、神島化学工業、日鉄ケミカル&マテリアル、大建工業、太平洋セメント、ニチアス、日東紡績、バルカー、ノザワ、エム・エム・ケイ、ケイミュー

ニチアス前抗議行動(2022年1月28日)

 国は、最高裁判決後、給付金制度を創設して被害者救済に乗り出しているのに対し、建材メーカーは、不当にも、未だに訴訟の解決にも被害者の救済にも背を向けています。

最高裁判決の問題点

 最高裁判決は、屋内作業者については救済しましたが、もっぱら屋外作業に従事した者(屋根工)との関係では、国・建材メーカーいずれの責任も否定しています。

 屋外作業者も、屋内作業者と同様に建設現場で石綿粉じんを吸い込んだからこそ病気になりました。同じように苦しみ、命を奪われた被害者の間に線引きをするような司法判断は不当であり、是正されるべきです。

 さらに、国の責任期間を1975(昭和50)年10月から、建材メーカーの責任期間を同年1月からとした点も問題です。アスベストの危険性に関する医学的知見の確立や建設現場でのアスベスト被害の実態からすれば、遅すぎます。

すべての建設アスベスト被害者の救済に向けて

 私たち弁護団がこれまでに裁判で求めてきたこと、そしてこれからも求め続けることは、アスベスト被害の完全救済と根絶です。

 当弁護団では、今後も、建材メーカーの責任を追及し続け、建材メーカーを含めた「建設作業従事者にかかる石綿被害者補償基金制度」の創設により、すべての建設アスベスト被害者の簡易・迅速な救済を目指します。

 また、石綿関連疾患の治療法の開発や治療体制の充実、万全な被害防止対策を求めていきます。

被害者・原告の声

  • 山本様

    1陣訴訟原告 山本百合子さん

     私の夫は、屋根工として、石綿含有の屋根材を切ったり穴を開けたりする際に大量の石綿粉じんを吸いこみ、肺がんで死亡しました。しかし、最高裁判決では「屋外作業者」ということで救済されませんでした。屋外か屋内かという線引きをされることはとても悔しく、断固として許されません。

  • 高木様

    2陣遺族原告 髙木敏子さん

     夫は法廷で自分の想いを語れぬまま旅立ちました。私は夫の無念を晴らすため遺族原告となりましたが、国や企業の理不尽な対応に何度も唇を噛みしめました。やっと最高裁判決が出て、国は謝罪や賠償を約束しましたが終わりではありません。国は作業場所や就労期間で線引きし,企業は和解に応じず100%の救済にはほど遠い状態です。私たち2陣は今後も前進していく決意です。

  • 1陣訴訟原告 西岡浅夫さん

関連リンク

私たちにご相談下さい。
アスベスト被害に関するご相談は無料です。

アスベスト被害ホットライン

0120-966-329

(平日の10時~18時)

折り返し、
弁護士が直接ご連絡します。

  • 私たちは建設アスベスト訴訟を提起・追行し、最高裁で賠償・救済を勝ち取りました。
  • 詳しく見る >
  • 国から賠償金を受け取れる場合があります。
    アスベスト訴訟の和解手続は、最高裁判決を勝ち取った私たちにお任せ下さい。

私たちにご相談下さい。アスベスト被害に関するご相談は無料です。

ご相談はLINE・メール・お電話から
受け付けています。

  • メール

    無料相談
  • 電話

    アスベスト被害ホットライン 0120-966-329

    ( 平日の10時~18時 )

  • LINEお友達登録