補償・救済手続 - 大阪アスベスト弁護団

01 労災・石綿救済法による補償

労災制度による補償

 労働者や、労災に特別加入されていた個人事業主(一人親方等)が、業務上石綿にさらされた事により石綿肺、肺がん、中皮腫など、石綿との関連が認められる疾病にかかり、そのために療養したり、休業したり、あるいは不幸にして亡くなられた場合には、労災保険の対象となります。

労災保険で受けられる保険給付は次のものがあります。

  1. 療養(補償)給付:療養の給付又は療養の費用の支給
  2. 休業(補償)給付:休業4日目から休業1日につき給付基礎日額の60%支給
  3. 傷病(補償)年金:年金支給
  4. 障害(補償)給付:年金又は一時金支給
  5. 介護(補償)給付:介護費用支給
  6. 遺族(補償)給付及び葬祭料(葬祭給付):遺族に年金又は一時金及び葬祭料の支給

出典:独立行政法人環境保全機構

石綿健康被害救済制度(石綿救済法)による給付
 石綿による病気になった方とその遺族の方で、労災補償の対象とならない方であっても、救済を行う制度です。
石綿工場の近隣に住居していた方、家族が石綿関連の仕事に就いていた方なども対象になります。認定されると、医療費、療養手当などが支給されます。
 遺族に対しては、弔慰金や、葬祭料が支給される場合があります。
給付の種類 給付の内容 請求期限
医療費 被認定者が認定疾病※1の医療※2に要した費用(健康保険等による給付額を控除した自己負担分)を支給するものです。※5 医療費の支払いを行った日の翌日から2年以内。ただし、療養を開始した日※4から申請日の前日までの医療費については、申請日から2年以内。
療養手当 医療費以外の入通院に伴う諸経費、日常生活における近親者等による介護に要する費用などを勘案したもので、月を単位として定額支給されるものです。
葬祭料 被認定者が認定疾病に起因し死亡した場合に、その方の葬祭を行うことに伴う費用負担に対して支給される給付です。 被認定者が死亡した日の翌日から2年以内。
(中皮腫及び肺がん)
特別遺族弔慰金・特別葬祭料(法施行日※7前に死亡された場合)
平成18年3月26日以前(法施行日※7前)に死亡した方のご遺族に対する弔慰等を目的として支給される給付です。 平成34年3月27日
(中皮腫及び肺がん)
特別遺族弔慰金・特別葬祭料(認定の申請を行わず法施行日※7以降に死亡された場合)
平成18年3月27日以後(法施行日※7以降)に、認定の申請を行わず死亡した方のご遺族に対する弔慰等を目的として支給される給付です。 死亡した日の翌日から15年以内
ただし、中皮腫又は肺がんにより、平成18年3月27日(この法律の施行日)から平成20年12月1日(改正法施行日)前までにお亡くなりになった方のご遺族からの請求は、平成35年12月1日まで(改正法施行日から15年間)です。
(著しい呼吸機能障害を伴う石綿肺及びびまん性胸膜肥厚)
特別遺族弔慰金・特別葬祭料(改正政令施行日※8前に死亡された場合)
平成22年7月1日以前(改正政令施行日※8前)に死亡した方のご遺族に対する弔慰等を目的として支給される給付です。 平成38年7月1日
(著しい呼吸機能障害を伴う石綿肺及びびまん性胸膜肥厚)
特別遺族弔慰金・特別葬祭料(認定の申請を行わずに改正政令施行日※8以降に死亡された場合)
平成22年7月1日以後(改正政令施行日※8以降)に、認定の申請を行わずに死亡した方のご遺族に対する弔慰等を目的として支給される給付です。 死亡した日の翌日から15年以内
救済給付調整金 支給された医療費と療養手当の合計が280万円(特別遺族弔慰金の額)に満たない場合に、その差額をご遺族に対し支給する給付です。 被認定者が死亡した日の翌日から2年以内
給付の種類 給付請求者 給付の内容・給付額
医療費 被認定者※3で認定疾病にかかる医療を受け、自己負担額が発生した方。
なお、被認定者※3がお亡くなりになり、被認定者が請求していない医療費があったときは、ご遺族の方が当該医療費を請求することができます。
療養を開始した日※4以降の、健康保険等による給付の額を控除した自己負担額※5。
療養手当 被認定者※3。 療養を開始した日※4の翌月から、支給する事由が消滅した日の属する月まで月額103,870 円※6。
葬祭料 当該認定疾病に起因し死亡した方の葬祭を行う方。 199,000円
特別遺族弔慰金・特別葬祭料 当該指定疾病に起因し死亡した方と同一生計にあったご遺族のうち最優先順位※9 の方。 特別遺族弔慰金として2,800,000円
特別葬祭料として199,000円
救済給付調整金 当該認定疾病に起因し死亡した方と同一生計にあったご遺族のうち最優先順位※9 の方。 特別遺族弔慰金の額から当該認定疾病に関し支給された医療費※10 及び療養手当の合計額を控除した金額。
※1 認定疾病とは、認定申請を行うことにより、機構から、アスベスト(石綿)を吸入することによりかかった旨の認定を受けた疾病をいいます。
※2 医療費の給付対象となるものは、石綿健康被害医療手帳(以下「医療手帳」)に記載された認定疾病やその続発症に関して、保険医療機関等において保険適用となる範囲内で受ける医療です。
※3 認定前にあっては、認定の申請をした者。
※4 療養を開始した日とは、認定に係る疾病について健康保険法第63 条第1項等の療養の給付が開始された日をいいます。
ただし、その日が認定の申請のあった日の3年前の日前である場合は、認定の申請のあった日の3年前の日となります。
※5 「医療手帳」が交付されるまでの間の、認定疾病にかかる医療費の自己負担分は、機構に請求することとなります。
また、「医療手帳」交付後は、通常保険医療機関等に「医療手帳」を提示することにより、窓口での自己負担分は、医療機関から機構へ請求されることとなります。
※6 療養手当の支給は療養を開始した日※3の属する月の翌月より支給され、認定後に毎年2月、4月、6月、8月、10月、12月にそれぞれの前月及び前々月分をまとめて支給します。
※7 法施行日とは、当初の石綿健康被害救済法の施行日(平成18年3月27日)を指します。
※8 改正政令施行日とは、石綿による健康被害の救済に関する法律施行令の一部を改正する政令施行日(平成22年7月1日)を指します。
※9 機構へお問い合わせください。
※10 「医療手帳」を提示することにより支給された医療費を含みます。

02 工場型(泉南型)の国との和解手続

 2014年10月9日の大阪・泉南アスベスト国賠訴訟の最高裁判決を受け、国は、最高裁判決において国の責任が認められた被害者と同様の状況にあった石綿(アスベスト)工場の元労働者やその遺族についても、訴訟上の和解により、損害賠償金を支払う旨を表明しました。これは、一定の要件を満たす被害者が、国に対して訴訟提起すれば、和解手続により速やかに救済されるというものです。

■ 和解の要件は、次のとおりです。

  1. 昭和33(1958)年5月26日から昭和46(1971)年4月28日までの間に、局所排気装置を設置すべき石綿工場内において、労働者として、石綿粉じんにばく露する作業に従事したこと。
  2. 石綿関連疾患(石綿肺、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚など)にり患したこと。
  3. 提訴の時期が損害賠償請求権の期間内であること。
    • 労災保険や石綿救済法による補償を受けている方も対象となります。補償を打ち切られたり減額されたりすることはありませんのでご安心下さい。
    • 労働者として働いた期間が上記①の一部の期間であっても対象となります。
    • 被害者が既に死亡している場合は、遺族の方が請求できます。
    • 雇用されていた会社(事業場)が既に廃業・倒産していても構いません。
    • 石綿工場で石綿取扱い作業に従事していた従業員だけでなく、石綿工場の作業場に継続的に立ち入り相当時間作業していた運送会社の従業員なども対象となります。
    • 断熱材や保温材として石綿が使用された様々な工場(例えば、化学線維工場や自動車整備工場、電車車両製造・修理工場など)で働いていた方が、救済対象となる可能性があります。
    • 当弁護団では、石綿製品の製造工場(石綿紡織工場や石綿建材製造工場など)以外の作業で石綿にばく露した被害者についても、多数、和解しています。お心当たりのある方やご遺族の方は、お気軽にお問い合わせください。

■ 和解により支払われる賠償金(慰謝料)は、次のとおりです。

1. じん肺管理区分の管理2で合併症がない場合 550万円
2. 管理2で合併症がある場合 700万円
3. 管理3で合併症がない場合 800万円
4. 管理3で合併症がある場合 950万円
5. 管理4、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚の場合 1150万円
6. 石綿肺(管理2・3で合併症なし)による死亡の場合 1200万円
7. 石綿肺(管理2・3で合併症あり又は管理4)、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚による死亡の場合 1300万円

 当弁護団では、被害者への周知徹底を国に要請するなど、1人でも多くの被害者救済を求める活動を続けています。

厚生労働省「アスベスト(石綿)訴訟の和解手続について」

リーフレット(PDF)

03 建設アスベスト被害に関する救済手続

 建設アスベスト被害に関する救済手続には、国からの給付金(建設アスベスト給付金制度)及び建材メーカーからの賠償金があります。

国からの給付金(建設アスベスト給付金制度)

 建設現場で働き、アスベスト関連疾患を発症された方やそのご遺族は、国から給付金の支払いを受けられる可能性があります。
 対象者は、以下の1.~3.の要件を全て満たす方やそのご遺族です。

  1. 次の期間ごとに、対象となる石綿にさらされる建設業務に従事したこと
  2. 1972(昭和47)年10月1日~1975(昭和50)年9月30日
     石綿の吹付け作業に係る建設業務
    1975(昭和50)年10月1日~2004(平成16)年9月30日
     一定の屋内作業場で行われた作業に係る建設業務(吹付け作業を含む)
  3. そのために、石綿肺、中皮腫、肺がん、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水など石綿関連疾患を発症したこと
  4. 労働者や、一人親方・中小事業主(家族従事者等を含む)であること

 給付額は、行政認定や病状に応じ、最大で1300万円です。

 詳しくはこちら(厚生労働省HP、外部リンク)

建材メーカーからの賠償金

 国からの給付金とは別に、裁判により、建材メーカーからも賠償金が支払われる可能性があります。
 対象者は、以下の1.~3.の要件を全て満たす方やそのご遺族です。

  1. 概ね1975(昭和50)年頃以降、一定の屋内作業場で行われた建設業務に従事していたこと(一人親方・中小事業主等を含む。)
  2. そのために、石綿肺、中皮腫、肺がん、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水など石綿関連疾患を発症したこと
  3. 労災認定、じん肺管理区分決定(管理2~4)または、石綿救済法認定を受けていること

 既に多くの被害者やご遺族の方々が建材メーカーに勝訴し、ケースに応じて数百万円から2000万円程度の賠償金を受け取っています。

 詳しくはこちら



04 企業に対する損害賠償請求

 石綿の危険性は古くから知られていたにもかかわらず、多くの企業(事業主・使用者)は、石綿粉じん対策を怠っていました。その結果、労働者(従業員)が石綿による健康被害を被った場合、企業はその損害を賠償しなければなりません。
 この間、多くの裁判で企業責任を認める判決がでています(石綿製品製造会社、建材メーカー、建設会社、電気工事会社、配管設備会社、塗装会社、造船会社、鉄鋼メーカー、化学メーカー、電力会社、製紙メーカー、ゴム製品メーカー、倉庫会社、港湾荷役会社、運送会社、鉄道会社、車両製作会社、自動車整備会社など)。また、訴訟上の和解で解決するケースや裁判をせずに示談交渉で解決するケースも多数あります。
 当弁護団では多数の事例を裁判や交渉で解決しています。

実績(解決した事例)一覧へ

 実際に企業から賠償金を受け取れるかどうかは、具体的な石綿ばく露状況や証拠の収集具合、企業の対応などによります。既に労災認定を受けられた方は、一度、当弁護団までご相談下さい。



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