【建設アスベスト訴訟】大阪2陣(地裁)第20回期日
2020.07.062020年7月3日(金)午前10時30分から、大阪2陣(地裁)の第20回期日が開かれました。半年ぶりの裁判期日は、全員マスク着用のうえ、傍聴席も当事者・代理人席も大幅に減らし、こまめに休憩時間を取って換気を行うなど、厳重な新型コロナ・ウィルス対策のもとで開かれました。前回期日以降に着任した裁判官2名(左陪席・右陪席)も、真剣に耳を傾けていました。
◆午前は、原告Tさんと弁護士の意見陳述が行われました。
◇原告Tさん(55歳)は、30年以上にわたって電工として働いてきましたが、2017年に胸膜中皮腫を発症。一旦はオプジーボが奏効しましたが、現在は副作用が酷く治療法がありません。
昨年9月に原告本人として証言したTさんは、今回改めて意見陳述を行うことに、当初とても迷いがあったと言います。痛みや苦しみ、怒りなどの言葉はただ脳を素通りする音に過ぎず、他人には永遠に理解されないのではないか?でも、だからこそ、何度も何度も必死になって伝えることが、今の自分の使命ではないのか?揺れる気持ちの中で、Tさんは「アスベスト被害と加害の『事実』は永久に変わることも無くなることもない。この『事実』の責任を問うことも絶対に止めることはできない」と気付き、自ら法廷で訴える決意を固めました。
◇その後、弁護士5名がそれぞれ「石綿関連疾患の病像」、「各職種における石綿粉じんのばく露状況」、「建材・企業選定の基礎知識」、「企業責任の到達点と課題」、「国の責任」について、意見陳述を行いました。建設アスベスト被害と、国や建材企業の加害の事実、その事実に基づく責任はすでに明らかにされており、一日も早く公正・公平な救済が望まれます。
◆午後は、被害者原告1名、遺族原告1名の本人尋問が行われました。
◇Nさんは、67歳。1968年から約50年間にわたって大工として働き、ビルや店舗、戸建てなどの工事に携わってきました。しかし、2017年9月頃から体調が悪化し、2019年6月に胸膜中皮腫と診断され、抗がん剤治療や胸膜摘出手術を受けました。今でも咳や痰、息切れのほか、食欲が減退し、着替え、入浴が困難になるなど日常生活にも大変な苦労を要します。Nさんは、尋問途中で手術の傷口が痛み出し、苦悶の表情。やむを得ず、この日は主尋問のみで終了し、後日、反対尋問を行うことになりました。
◇Yさんの父親Fさんは、1956年から約19年間、左官工として働き、胸膜中皮腫により2018年2月に76歳で亡くなりました。Fさんは、左官の仕事をやめてから42年、新聞配達をしており、ほとんど病気をすることもありませんでした。病気がわかった時には既にかなり進行しており、片道2時間の病院で抗がん剤治療を受けましたが、効果はありませんでした。容態は悪化の一途をたどり、体格が良かった体は痩せ細り30キロ台にまで減少。約10か月後に亡くなりました。4歳で戦災孤児となり、苦労を重ねたFさんは、40年以上前のアスベストに穏やかな老後も命も奪われました。
◆関西建設アスベスト訴訟の当面の期日(予定)
10月30日(金)13時30分 2陣地裁第21回期日【大阪地裁202号法廷】
12月15日(金)13時30分 2陣地裁第22回期日【大阪地裁202号法廷】
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