令和2年度「滝井繁男行政争訟奨励賞」受賞が決定!
2020.11.13元最高裁判所判事である滝井繁男弁護士の遺言に基づく活動の一環として、公益財団法人日弁連法務研究財団に設置された「滝井繁男行政争訟奨励賞」。行政争訟の活性化の実現のため、優れた研究や顕著なる功績を残した団体として、今年度は大阪アスベスト弁護団が表彰されることが決まりました。受賞にあたっては、泉南アスベスト国賠訴訟において、最高裁における勝訴判決を勝ち取った点が高く評価されています。
当弁護団は、建設アスベスト訴訟をはじめとする全てのアスベスト被害の救済と、新たな被害発生の防止、ノンアスベスト社会の実現を目指して、引き続き全力を尽くして活動します。
*公益財団法人日弁連法務研究財団[令和2年度「滝井繁男行政争訟奨励賞」受賞者決定のお知らせ]
受賞理由 実務部門 大阪アスベスト弁護団(団長:村松昭夫弁護士)
大阪アスベスト弁護団は、平成26年10月9日,いわゆる泉南アスベスト国賠訴訟において、最高裁における勝訴判決を勝ち取った。これによりアスベスト工場元労働者や遺族について、一定に要件を充たす被害者が、訴訟を提起すれば和解手続により被害回復がなされる道筋を作られた。そして、建設作業に従事していた被害者についても集団訴訟(建設アスベスト訴訟)を提訴し、現在までに、地裁及び高裁において国に対して勝訴判決を勝ち取っている。
泉南アスベスト訴訟において最高裁は、国が、労働者の生命・健康被害の発生を防止するために、できる限り速やかに、適時かつ適切に規制権限を行使しなければならず、産業発展を優先して国民の生命・健康を犠牲にすることがあってはならない旨判示した。これにより、規制権限の不行使についての司法判断基準を前進させ、近時においては、吹付型アスベストだけでなく、非飛散性アスベストについても規制が設けられる等、行政規制の範囲にも大きな影響を及ぼしている。
また、国の賠償責任が明確になったことから、従来は被告の支払い能力が乏しいために提訴を見送らざるをえなかった小規模事業者の労働者なども含め、多くの人々に救済の途を広げ、弁護士によるアスベスト被害者救済のための活動も各地で展開されるなど、法律実務に大きな影響を及ぼしている。
以上から、大阪アスベスト弁護団は、行政争訟等に関する法律実務において、従前の判例や取扱いの変更等の成果を勝ち取り、法律実務の改善に顕著なる功績を残し、行政争訟等の発展と国民の権利救済に寄与したと認められる団体に該当するものと考える。
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