建設アスベスト国賠訴訟、国が全額支払い甥、姪らと和解
2024.03.11建設現場で働き、中皮腫で亡くなった被害者の甥、姪らが、国に慰謝料など1430万円の支払いを求めて提訴した訴訟は、2024(令和6)年3月11日、神戸地裁で和解が成立しました。国が遺族に全額を支払い、謝罪する内容です。
建設アスベスト給付金制度では、被害者が亡くなった場合、請求権者が配偶者や子、父母、兄弟姉妹などに限られており、甥や姪は法定相続人であっても対象外とされています。
本件は、被害者の兄が給付金を請求していたものの、支給決定前に死亡。そのため被害者の法定相続人である甥、姪らが、やむを得ず国賠訴訟を提訴した全国初の事件で、当弁護団が担当していました(詳しくはこちら https://asbestos-osaka.jp/all/kensetsu/4154/ をご覧ください)。
原告側は、慰謝料1300万円(被害者死亡時の給付金と同額)と弁護士費用130万円の合計1430万円を請求。国は原告側の請求に全面的に応じ、和解が成立しました。原告がやむを得ず訴訟を提起せざるを得なかった事情に鑑みて、弁護士費用の支払いにも応じたものと思われます。
原告の方は、「父(給付金を請求していた被害者の兄)が亡くなった時、給付金担当者から『これで終わりです』と言われ、『どう考えても、おかしい』と思って裁判しました。あの時、そんなものかと思って声を上げなければ、それっきりになっていたと思うと、恐ろしいです」とコメントしています。
甥や姪が法定相続人であるケースは珍しくなく、今回と同様のケースが埋もれている可能性があります。
給付金の請求権者である兄弟姉妹が亡くなった際、国は「無効」として手続きを終了させるだけでなく、甥や姪の訴訟提起による請求の可能性も含めて、丁寧に説明すべきです。
○NHK アスベスト被害 給付金の受給対象めぐる訴訟で和解 神戸地裁
https://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/20240311/2020024701.html
○神戸新聞 アスベスト被害で男性死亡 遺族と国の和解成立 原告に謝罪、請求通り全額支払い 神戸地裁
https://www.kobe-np.co.jp/news/society/202403/0017419974.shtml
○毎日放送 建設アスベスト訴訟で遺族と国が和解 給付金の“支給対象を限定するのは不条理”などとして損害賠償求めた裁判
https://www.mbs.jp/news/kansainews/20240312/GE00056041.shtml
○毎日新聞
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