泉南型石綿国賠、東レ元従業員で初の和解成立!
2019.07.25
2019年7月24日(水)、東レ株式会社滋賀事業場の工場で働き、石綿肺に罹患した90歳代の男性が、国に損害賠償を求めた訴訟について、国との和解が成立しました。当弁護団が担当し、大阪地方裁判所に提訴していた案件です。東レ元従業員の泉南型石綿国賠では初の和解事例です。
被害者は、ナイロンやレーヨンなど化学繊維を製造する工程で、機械の急冷を防ぐため石綿布団を巻いたり、石綿布を切って防熱手袋を作ったりしていました。ご本人から作業工程や石綿粉じんばく露の状況を詳しく聴き取り、手書きの図面を添付した報告書を提出。その結果、提訴から5か月という短期間で和解に至りました。
当弁護団では、東レ、東レエンジニアリングの元従業員の方の国賠事件を他にも複数担当しています。化学繊維の製造に限らず、高熱の機械器具を取り扱う作業現場では、断熱や保温・急冷防止のため石綿製品が多用されていました。高度経済成長期の基幹作業に従事し、石綿被害にあわれた方は全国にまだまだたくさんおられるはずです。今回の和解を機に、少しでも被害の掘り起こしが進むことを期待します。
*毎日新聞[東レ元従業員、初の和解 石綿賠償訴訟で国と 大阪地裁/滋賀]https://mainichi.jp/articles/20190725/ddl/k25/040/413000c