造船アスベスト国賠訴訟 - 大阪アスベスト弁護団

造船アスベスト国賠訴訟とは

造船アスベスト国賠訴訟とは、船舶の内装・電気・配管工事や検査業務などに従事し、船舶に使用された石綿建材に含まれるアスベストが原因で病気になった方々が、国に対し、損害賠償を求めて提訴したものです。泉南アスベスト国賠訴訟、建設アスベスト訴訟に続き、当弁護団が全国初の取り組みとして行う訴訟です。

提訴時の入庁行動(2023年2月10日)

 造船現場では、建設現場に次いで多数のアスベスト被害が発生しています。
 工場、建設作業と同様、造船アスベスト被害についても、国による早期の救済が求められています。

被害者の声

■ 被害者男性(神戸市在住)
 アスベストの病気で苦しむことになるなど思わず、ただ一生懸命働いてきました。
 国はきちんと責任を取って欲しいと思います。
■ 被害者遺族女性(京都府在住)
 夫は中皮腫という辛く苦しく壮絶な病と闘った末、命を落としました。家族はアスベストの恐ろしさを痛感しました。他にも犠牲になられた人は多くいらっしゃると思います。
 国がアスベストの使用の危険性を広く知らせてくれていたら夫はそんな危険な仕事はしていませんでした。国が造船業の被害者には責任を認めないと聞き、愕然としました。私たち被害者家族は、国の責任を明らかにするため、裁判に立ち上がることにしました。
■ 被害者遺族男性(高知市在住)
 アスベストによる中皮腫で亡くなった、父の最期はとてもつらいものでした。退職したら、母と2人で大好きな釣りをして過ごしたいという願いも叶わず、父を亡くした後の母も、長い間悲しい思いを抱えていました。
 国がアスベストの危険性について、早くに対応してくれていれば、父もつらく悲しい思いをしないで済んだと思います。アスベスト被害者に対して、国の誠意ある対応を望みます。
■ 被害者遺族女性(神戸市在住)
 夫は、70歳になってすぐに、アスベストによる肺がんで苦しみながら亡くなりました。子どもも独立して、夫婦2人で旅行をする等して過ごそうと思っていた矢先に肺がんが見つかり、それもかなわなくなりました。本人も、「もっと生きたい」と言っていました。
 国がアスベストについて適切に対応してくれてさえいれば、今も夫は生きていたはずで、私たち家族はこんなことにはなりませんでした。国には、謝罪と、誠意ある対応を望みます。
■ 被害者家族女性(大阪市在住)
 父は少しの体調不良では病院には行かない人で、仕事も休む事なく物静かな人でした。そんな父は、母と2人暮らしで、遠方にいる孫達と旅行に行きたいと、2年前の宣告まで頑張って仕事をしていました。職場の健康診断で、中皮腫が見つかり、余命1年治療の施しようがないと宣告されました。父は孫達との旅行を夢見ていたので、少しでも回復の可能性があるかもしれないと、中皮腫の痛みに苦しみ、抗がん剤治療の苦しみに耐えながら中皮腫と闘ってくれています。
 突然の宣告から2年間、私達家族は父の回復をひたすら信じながら、入退院を繰り返す父を頑張って笑顔でサポートしてきました。家族に心配をかけまいとする我慢強い父も、日に日に痛みが増してきて苦しんでいます。このとても辛く長い闘いを少しでもやわらげられるように、国の誠意あるご対応をお願いしたいと望むだけです。

Q&A

■ 造船アスベスト国賠訴訟Q&A

Q.国に対する請求額はいくらですか。
A.被害者1人あたり1150万円~1300万円の慰謝料(建設アスベスト給付金制度の金額と同じ)と、弁護士費用(115万円~130万円)、発症日からの遅延損害金を請求しています。

Q.どのような方が原告になっていますか。
A.建設アスベスト給付金制度の対象者と同じく、昭和50年10月1日(※)~平成16年9月30日までの間に、一定の屋内作業場で行われた石綿にさらされる造船業務に従事した方々です(※吹付作業の場合は昭和47年10月1日)。
 提訴した原告(被害者)の職種は、(造船)電気工、木工(大工・内装)、配管工、保温工、マリンサーベイヤー(船舶検査員)など様々です。

Q.造船作業の中で使われていたアスベスト含有製品には、どのようなものがあったのですか。
A.船舶には、防火・防熱や防音のため、天井や壁に吹付材が施工されており、ボイラーやタービン、配管などには保温材として石綿布や石綿布団が巻かれていました。また、石綿板やケイカル板など耐火用のボード類も使われており、溶接時には火花養生や急冷防止のため石綿布が良く使われていました。電線が壁や天井を貫通する箇所に、アスベスト含有の充填材が用いられたのも船舶の特徴です。船舶用に開発された石綿含有製品には、しばしば「○○マリン」「マリン○○」といった商品名が付けられています。

Q.原告(被害者)はどのような作業で、アスベストにばく露したのでしょうか。
A.一例ですが、パイプに保温材を巻き付けたり、取り外す作業(配管工)、石綿布をはさみで切断する作業(保温工)のほか、のこぎりで壁材、天井材として用いられるボードを切断したり、穴を空けたりする作業、壁や天井に貫通させた電線管に充填材を詰める作業(以上、電気工、木工)などで、これらのアスベスト含有製品から発生した粉じんにばく露したケースが明らかになりました。また裁判中に国が複数の大手造船会社に照会した結果、多種多様な職種がアスベストに触れる機会があったことが分かりました。
 閉鎖空間で複数の職種が同時に作業をすることが常態化しており、機関部門の検査のため船内に立ち入ったマリンサーベイヤー(船舶検査員)は、他職種の作業から生じたアスベスト粉じんにばく露していました。

Q.造船アスベスト国賠訴訟の意義や提訴の経緯を教えてください。
A.私たちは、令和3年5月に勝ち取った建設アスベスト訴訟最高裁判決、及びこれを受けて創設された建設アスベスト給付金制度により、造船現場でアスベスト被害にあった方々も救済されるべきだと考えました。船舶には建築物と同じように大量の石綿製品が使用されており、造船作業も建設作業もアスベストばく露に違いはないからです。
 ところが、国は、造船作業者については建設アスベスト給付金制度の対象外であると回答し、救済に応じようとしませんでした。そこで、国の対応を改めさせ、造船アスベスト被害者の速やかな救済を図るため、本件訴訟提起に至ったものです。

Q.原告(被害者)は、どのような会社に勤めていましたか。
A.三井造船、川崎重工業、日立造船、ビューローベリタスジャパン、佐世保重工業、IHI(旧石川島播磨重工業)などの大手造船会社や、その下請企業にお勤めだった方々です。また、一人親方として造船作業に携わっておられた方もいらっしゃいます。

Q.労災認定を受けた後、会社から上積み補償を受けていますが、国にも請求できますか。
A.上積み補償の金額や支払を受けた時期にもよりますが、国にも請求できる場合があります。
 なお、造船作業をしていた方のじん肺、石綿関連疾患については、会社の責任を認めた裁判等が多数あり、大手造船会社には元従業員を対象とする補償規程があるところもあります。しかし、補償水準が不十分な場合も多く、また下請労働者や一人親方には全く補償がされていないのが実情です。

Q.既に労災認定(あるいは石綿救済法認定)を受けており、給付も受けています。造船アスベスト国賠訴訟に加わると、労災の支給が打ち切られたり、減額されてしまうのでしょうか。
A.ご安心ください。造船アスベスト国賠訴訟に加わり、国から慰謝料を受け取ったとしても、労災保険や石綿救済法による給付が減額されたり打ち切られることはありません。

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