実績(解決した事例)

石綿製品製造工場で農業用機械のクラッチ研磨作業に従事して石綿肺を発症した元労働者が、元勤務先の企業に損害賠償請求を行い、合計2400万円の慰謝料支払いが命じられた事案

【事案の概要】

 Xさんは、1964年から1980年にわたって、大阪府南部の石綿製品製造工場で農業用機械のクラッチフェーシングの研磨作業に従事しました。クラッチフェーシングを研磨する際に、石綿を含む金属性の粉じんが飛び散り、Xさんはアスベストにばく露しました。

 Xさんは、息切れや呼吸困難を感じ、2006年に石綿肺(管理区分2)の認定を受け、2009年には石綿肺(管理区分4)の認定を受け、勤務先企業に対して安全配慮義務違反に基づく損害賠償を請求し、本人の慰謝料2290万円、長女の親族固有の慰謝料110万円の合計2400万円の賠償が認められました。

大阪地方裁判所・平成22年4月21日判決言渡(控訴審で訴訟上和解)

【判決の内容】

 被告(元勤務先企業)は、石綿関連疾患発症の予見可能性が無かったとし、さらに、適切な安全管理をしていたとして、安全配慮義務に違反していないと主張しました。

 しかし、石綿関連疾患に関する医学的知見に照らせば、被告は従業員の石綿関連疾患発症を当然に予見でき、さらに、本人及び元同僚の供述等に照らせば、安全配慮義務の違反もあったとしました。その上で、原告である患者の長女は、患者の介護のため、重大な精神的苦痛を被っており、親族固有の慰謝料についても認めました。

 

【判決のポイント】

 被告(元勤務先企業)が、粉じん対策をしていたことを示す過去の記録を提出して争ったのに対し、原告は、本人及び複数の元同僚の供述により、的確に反論しました。

 また、患者の介護に従事していた長女も原告となり、同人の負担が極めて重く、疲弊していることを、説得的に説明し、その結果、親族固有の慰謝料も認められました。生存している患者の家族の慰謝料が認められるのは異例のことであり、石綿被害の重大さを裁判所がよく理解したことを示しています。

 

執筆者 弁護士 八木倫夫

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