自動車部品の塗装業務に従事した労働者が工場型国賠訴訟で和解成立
2022.02.042022(令和4)年2月3日(木)、自動車部品の製造・加工を営むS社で勤務した被害者が悪性腹膜中皮腫に罹患して死亡したことについて、被害者の遺族が国に賠償を求めた訴訟において、大阪地裁で和解が成立しました。
被害者は、1961(昭和36)年4月から1970(昭和45)年8月まで、S社で勤務し、自動車部品工場において部品塗装業務に従事しました。
被害者は、部品を塗装する際に使用する塗料(パーカーライジング)をボイラーで温めて使用していました。そのボイラーに断熱材として石綿が使用されており、被害者は、ボイラーに巻かれた石綿がぼろぼろになる度に、素手で石綿をちぎったり、巻き付けたりするなどして修復作業を行い、石綿にばく露しました。
裁判において、国は、被害者本人の供述だけでなく、元同僚や会社従業員の陳述書やその他石綿ばく露を示す客観的資料を求めてきましたが、会社に対する照会をかけても、既に工場が移転しており、元同僚も不明であり、その他の客観的な資料は存在しませんでした。
しかしながら、本人が労基署で述べたばく露実態が詳細かつ具体的であったこと、当弁護団では同様にボイラーの断熱材として石綿を使用し、その修復作業でばく露した被害者が和解した事例があったことから、その事例も参考にして、当該被害者がS社の工場で石綿にばく露する以外に石綿関連疾患を発症する可能性は存在しないことを粘り強く主張し、提訴から約2年かけて、ようやく国が和解に応じました。
本件は、石綿製品を製造する職種ではありませんが、粘り強く石綿ばく露の実態について主張・立証したことで、工場型国賠訴訟の和解が成立した一例と言えます。どのような職種の方でも、過去に石綿を取り扱っていた方、少しでも気になる方は一度、当弁護団にご相談下さい。
(執筆担当者: 弁護士 西川翔大)
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