改正大気汚染防止法が成立、規制強化は不十分
2020.06.042020年5月29日(金)、改正大気汚染防止法が参議院本会議で原案のまま採択されて成立しました(末尾に付帯決議)。
建物の解体・改修工事でのアスベスト飛散防止を徹底するため、レベル3建材を含めた全ての建材を規制対象に加え、事前調査結果について一定規模以上あれば都道府県への報告を義務付けることなどが定められました。しかし、濃度測定の義務化や除去業者のライセンス制の導入、完了検査の義務付けなど、実効性のある規制は見送られ、諸外国と比べても極めて不十分です。
中皮腫・じん肺・アスベストセンター所長の名取雄司医師は、「このままでは、解体・改修によるアスベスト被害が50年後も増え続けかねない」と警告しています。
*環境省[大気汚染防止法の一部を改正する法律案の成立について]https://www.env.go.jp/air/post_46.html
*NHK[アスベスト飛散防止徹底へ 改正大気汚染防止法が成立]https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200529/k10012449971000.html
*朝日新聞[アスベスト飛散防止強化 改正大気汚染防止法成立]https://www.asahi.com/articles/ASN5Y46XTN5XULBJ003.html
*時事通信[石綿、解体時の規制強化=改正大気汚染防止法が成立]https://sp.m.jiji.com/article/show/2391129
*参議院付帯決議
政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
1 石綿含有建材を使用した建築物等の解体等工事現場において隔離場所周辺の大気濃度測定が必要とされていることにかんがみ、石綿の濃度を迅速に測定するための方法や測定結果の評価に必要な管理基準値等について、現に義務化を実施している地方公共団体等の事例を参考にして調査・研究を行い、その制度化について速やかに検討すること。
2 規制対象となる解体工事等が大幅に増加することが見込まれることにかんがみ、関係省庁や都道府県等が連携し、建築物石綿含有建材調査者講習等により専門性を有する十分な人材を確保するよう努めること。
3 石綿に係る調査等の信頼性を確保するため、事前調査及び作業後の確認の施行の状況を踏まえ、第三者による事前調査、大気濃度測定及び作業後の確認の実施も含め、必要に応じて対策を検討すること。
4 石綿に係る特定粉じん排出等作業において、被覆等の石綿の除去以外の方法による作業についても石綿の飛散の可能性がある場合には、除去の場合と同様に隔離や集じん・排気装置の使用等必要な作業方法を法令上明確に定めるよう検討すること。
5 石綿の除去等に関する作業の安全性と信頼性を向上させるため、特定粉じん排出等作業にあたる事業者に対し、本法の周知及び施行に係る技術的情報の提供にと努めること。
6 解体等工事の規制に関し、環境保全等の観点から、環境省、厚生労働省及び国土交通省等の関係省庁間の連携を強化し、より実効性のある石綿飛散防止対策を行うこと。
7 石綿含有建材を使用した建築物等の解体等々孤児の増加により、石綿飛散の危険性が一層高まることから、石綿による健康被害救済制度の施行状況を把握するとともに、石綿関係の疾患等に係る最新の知見を収集し、適切な救済の実施に向けた必要な見直しを行うこと。
8 本法付則第5条による施行後5年の見直し時期以前であっても、必要に応じて本法の規定の施行状況を踏まえ、必要があると認める場合には、適宜適切に所要の措置を講ずること。
*大気汚染防止法一部改正案参議院附帯決議(2020年5月28日)PDF
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