建設アスベスト給付金の請求者がいなくなり、被害者の相続人が国賠訴訟を提訴
2023.09.072023(令和5)年9月6日、建設現場で働き、中皮腫で亡くなった被害者の姪らが、国に損害賠償の支払いを求めて神戸地裁に提訴しました。
建設アスベスト給付金の請求者がいなくなり、被害者の相続人が国賠訴訟を提訴した全国初の事件で、当弁護団が担当しています。
建設アスベスト給付金制度では、請求権者が被害者本人のほか、遺族の場合は内縁を含む配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹とされており、民法上の損害賠償請求権の請求権者である法定相続人の範囲とは必ずしも一致しません。
本件は、中皮腫で亡くなった被害者の兄が給付金を請求していたものの、支給決定前に死亡。被害者の法定相続人(甥、姪その他)がいるにもかかわらず、給付金請求は「無効」として手続終了となってしまったため、国賠訴訟を提起せざるを得なくなりました。
長年電気工事に従事してきた被害者は、悪性胸膜中皮腫を発症し、2020(令和2)年1月に死亡(当時78歳)。被害者には、配偶者や子、父母などがいなかったため、兄が遺族として労災申請し、同年9月に労災認定を受けました。
兄は、2022(令和4)年2月に給付金請求のため労災支給決定等情報提供サービスを申請。同年6月2日付けで「該当」通知を受け取り、給付金請求書を提出していましたが、同年8月、支給決定されないまま亡くなってしまいました。
建設アスベスト「給付金」は、本来、国の違法・責任を前提とした「賠償金」です。
原告である被害者の姪は、「建設アスベスト被害者やその遺族にとって、給付金の支給決定は『国に被害者と認めてもらい、謝罪してもらうこと』と同じ。あんなに苦しんだ叔父が被害者と認められないまま、『これで手続きは終わり』と言われた時はショックだった」、
「叔父とはずっと一緒に生活してきたのに、家族じゃないと言われた気がした」と語りました。
本件では、①民法上の損害賠償請求権者(相続人)と行政手続上の給付金請求権者の範囲が異なることに加え、②国が迅速に支給決定していれば請求権者がいなくなる事態は避けられたという問題点があります。
建設アスベスト給付金は、請求から支給まで半年以上かかるケースも多いのが実情です。
国には、迅速な支給決定とともに、本件のような場合には、少なくとも相続人が損害賠償請求できる可能性があることを説明する等、給付金制度の運用の改善を求めます。
NHK https://www3.nhk.or.jp/lnews/kobe/20230906/2020023163.html
共同通信 https://nordot.app/1072088402751799431
朝日新聞 https://www.asahi.com/articles/ASR966FR7R96PIHB009.html
関テレ https://www.ktv.jp/news/articles/?id=08088
神戸新聞 https://www.kobe-np.co.jp/news/society/202309/0016783047.shtml
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