首都圏建設アスベスト神奈川1陣訴訟が結審、和解勧告、判決日は2023年5月19日
2022.11.242022年11月22日、最高裁から差し戻され、東京高裁第2民事部(渡部勇次裁判長)に係属している首都圏建設アスベスト神奈川1陣訴訟が結審し、判決日が2023年5月19日午前10時30分に決まりました。
結審にあたり、渡部裁判長から「裁判所としても和解による解決が望ましいと考えている」とした上で、「和解による解決を勧告する」との発言がありました。年明けに和解期日が調整される見込みです。
今回、和解勧告の対象となった被告企業は、エーアンドエーマテリアル、ニチアス、太平洋セメント、エム・エム・ケイ、ノザワ、大建工業の6社。すでに最高裁で責任が確定した被告企業ばかりです。
被告企業は、裁判所の和解勧告を真摯に受け止め、早期解決へ向けて誠実に和解協議に臨むべきです。
○建設アスベスト神奈川1陣訴訟・差戻審結審に際しての声明(2022年11月22日)(pdf)
建設アスベスト神奈川第1陣訴訟・差戻審結審に際しての声明
2022年11月22日
首都圏建設アスベスト神奈川訴訟原告団
首都圏建設アスベスト神奈川訴訟弁護団
首都圏建設アスベスト統一本部
建設アスベスト訴訟全国連絡会
1 昨年5月17日、最高裁判所は、首都圏建設アスベスト神奈川第1陣訴訟(以下「神奈川1陣訴訟」という)をはじめとした4訴訟につき、国、建材メーカーらの責任を認める判決を言い渡した。
国に対しては、防塵マスクの着用、警告表示・現場掲示の義務付けを怠った規制権限不行使の責任を認め、労働者以外の一人親方等に対する責任も認めるとともに、建材メーカーに対しては、警告義務違反を認めたうえで、民法719条1項後段の類推適用による、共同不法行為責任を認める明快な判決となった。
2 これをふまえて被告の国は、判決の翌日、菅首相自ら、原告団の代表らと直接面談の上、原告らに謝罪したうえで、同日の夕刻厚労大臣が、基本合意書に調印。これに基づき、現在までに、全国で大半の原告との和解が成立する一方、昨年6月には、未提訴被災者に対する補償を行政認定方式によって行う建設アスベスト給付金法が成立し、本年10月時点で1800名余の救済が実現するに至っている。
3 これに対して被告の建材メーカーらは、最高裁で責任が確定した原告に対して、三行半の謝罪文を送付してくるのみで、原告らの直接の面会要求も一切拒否。また確定原告に対しては、賠償金を支払うものの、これ以外の係争中の事件については、一切和解に応じることなく、全面的に争う構えを崩しておらず、国が創設した補償基金制度に参加して、補償財源を負担するそぶりも示していない。
提訴から数えても13年間争った末、最高裁で責任が確定した被告企業らが、まともな謝罪もすることなく、今後の和解の方向も一切示さないというのは、前代未聞、許されるものではない。
4 かかる中、本日、東京高裁第2民事部(渡部勇次裁判長)において、最高裁から差戻しとなっていた神奈川1陣訴訟が、結審するところとなった。
すでに最高裁判決により建材メーカーらの法的責任の有無に関する議論には、終止符が打たれており、当裁判所においては、残る論点である建材メーカーらが負うべき損害賠償責任の範囲について、最高裁判決が示した判断枠組みの中で、被害者の救済を高い水準で実現することが求められている。
5 ところで神奈川1陣訴訟にあっては、当初の被災原告中、生存原告はわずか4名となってしまったことに象徴されるように、本件建設アスベスト事件の解決は、一刻の猶予も許されない、喫緊の課題となっている。
これを踏まえて原告らは、裁判所に対して、本件訴訟についての和解協議の申し出を行い、本日結審にあたり、渡部裁判長から本件は和解による解決が望ましいとして、和解勧告があった。
被告企業らは、早期解決のため、原告らの和解提案に真摯に向き合って和解協議に応じ、補償基金制度への参加とその財源負担を決断するべきである。
以上
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