九州建設アスベスト1陣訴訟、最高裁で外装材メーカーにも勝訴(声明) - 大阪アスベスト弁護団

九州建設アスベスト1陣訴訟、最高裁で外装材メーカーにも勝訴(声明)

2022.02.14

2022年2月10日、最高裁第2小法廷に係属していた九州建設アスベスト1陣訴訟について、建材メーカー4社(エーアンドエーマテリアル、ニチアス、ノザワ、ケイミュー)の責任が確定しました。ケイミューの責任が最高裁で確定するのは初めてです。

【声明】九州建設アスベスト1陣訴訟最高裁決定(2022年2月10日)(pdf)

〇NHK:九州の建設アスベスト訴訟 建材メーカー4社の敗訴確定 最高裁(外部リンク)

〇NHK福岡:九州建設アスベスト訴訟4社の敗訴確定(外部リンク)

〇毎日新聞:建設アスベスト九州訴訟、メーカー4社の賠償確定 最高裁上告退け(外部リンク)

〇産経新聞:建設石綿九州訴訟でもメーカー責任確定 最高裁(外部リンク)

〇時事通信:メーカー4社の責任確定 建設石綿九州訴訟―最高裁(外部リンク)

 

声      明

2022年2月10日

九州建設アスベスト訴訟原告団

九州建設アスベスト訴訟弁護団

九州建設アスベスト訴訟を支える会

1 本日、最高裁判所第二小法廷(菅野博之裁判長)は、九州建設アスベスト1陣訴訟について、当事者双方(一審被告企業4社と一審原告ら)が申し立てた上告受理申立を不受理、前記企業4社の上告を棄却とする決定を行った。これにより、エーアンドエーマテリアル、ニチアス、ノザワ、ケイミューに対する一審原告らの勝訴が確定した。昨年5月17日の建設アスベスト4事件(首都圏神奈川1陣、同東京1陣、京都1陣、大阪1陣の各訴訟)の判決に続き、建設アスベスト被害について建材メーカーの責任が改めて断罪されたのである。

 九州建設アスベスト1陣訴訟の概要は、別紙記載のとおりである。

2 最も注目するべき点は、この決定によって、はじめて外装材(屋根材、サイディング材)について、それらを製造・販売したケイミューとノザワの責任が確定したことである。これらの外装材について、福岡高裁判決は、「屋外で施工される場合であっても‥粉じんばく露は避けがたい」「加工がすべて屋外でなされるとも直ちに認定できない」といった理由により、両社の責任を認めていた。最高裁はこの判断を追認したのである。

 先行の最高裁判決では、外装材についての製造販売企業の責任が認められなかったが、高裁の事実認定の内容次第ではこれが認められることが明らかになった。この意義はきわめて大きい。製造販売企業の責任だけでなく、屋外工に対する国の責任を否定するという不当な判断を乗り越える道が拓かれたということもできる。

 私たちは、今回の判決・決定を力に、建設アスベスト被害救済の範囲を大きく広げるべく、取り組みを強めることを決意している。

3 今回の決定では、責任を負うとされた企業が4社に留まっており、前記先行4訴訟判決に比べて少ないという問題がある。また、賠償額について、今回の決定で確定した福岡高裁判決は、最初から基準慰謝料額の3分の1にとどめた上で、さらにそこから就労期間の短さ等を理由に減額を行っており、賠償額が過度に抑制されているという問題もある。

 しかしながら、今回、最高裁はこれらの点について高裁の判断を変更しないとしたに過ぎず、責任を負うべき企業の範囲を広げ、賠償すべき額を大きくすることは、決して困難ではない。私たちは、九州2陣訴訟、すでに全国で闘われている同種訴訟、さらにこれから提訴される新たな訴訟で、必ずこれらを実現する所存である。

4 企業に対する規制を怠ったことの責任を問われた国が、被害者に謝罪し、今後の被害根絶の協議の約束をして、基金による救済を行っている。その一方で、自ら危険なアスベスト建材を製造販売して国中に普及させ、被害を生み出してきた企業は、責任を認めようとせず、争いを続けようとしている。これは誰の目から見ても道理に反しており、製造販売企業には決定的に責任の自覚が欠けているといわざるをえない。

 アスベスト建材の製造販売企業は、真摯な謝罪をして、建物解体等による今後の被害発生を防止し、賠償のために国が設立した基金に参加するべきである。とりわけ、今回責任が確定した4社は、アスベスト建材の総合メーカーたるリーディング企業であり、アスベスト被害に対して特に重い責任を負っている。4社には率先して他企業にも働きかけ、解決に道を拓くよう務めるべき責務がある。国も、関係者も、ともに企業に解決を迫るために力を尽くすべきである。

 私たちは、4社をはじめとするアスベスト建材製造販売企業をこうした立場に立たせ、建設アスベスト被害救済を実現するため、今後も全力を尽くすものである。

以 上

 

(別紙)九州建設アスベスト1陣訴訟の概要

1 訴訟の主な経過

 2011(平成23)年10月 5日・・・ 福岡地方裁判所に提訴

 2014(平成26)年11月 7日・・・ 福岡地方裁判所による第1審判決

 2019(令和 元)年11月11日・・・ 福岡高等裁判所による控訴審判決

 2021(令和 3)年12月13日・・・ 最高裁判所において国との和解が成立

 2022(令和 4)年 2月 9日・・・ 最高裁判所が上告棄却・上告受理申立不受理を決定し、これにより訴訟がすべて終了

2 訴訟当事者

 一審原告らの最終的な人数 53名(被災者単位28名)(提訴後に亡くなった被災者6名)

3 訴訟の結果

(1)国との訴訟上の和解

    ・・・ 和解対象者52名(被災者単位27名)

        和解金総額3億5613万5996円

(2)企業に対する勝訴

    ・・・ 勝訴者49名(被災者単位26名)

        賠償確定額(元本)1億2533万0308円

        賠償責任が確定した加害企業(4社)

          株式会社エーアンドエーマテリアル

          ニチアス株式会社

          株式会社ノザワ

          ケイミュー株式会社 

以 上

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