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鉄道車両製造企業の協力会社に勤務し中皮腫を発症した方の遺族が工場型で和解成立

2024.07.30

鉄道車両製造企業の協力会社に勤務し、車両の電気配線などの作業に従事していた被災者の遺族と国の間で和解が成立しました。

 

被災者は、昭和36年から昭和41年にかけて、鉄道車両製造企業の協力会社の社員として、車両内の電気配線等の作業に従事する際に、石綿粉じんにばく露しました。具体的なばく露状況は、天井等に吹き付けられていた石綿をはつったり、配管の中に電線を通す際に圧縮空気を用いて電線を通すのですがその圧縮空気が吹き付けられていた石綿に触れたときなどに、飛び散った粉じんを吸い込んでいました。

その結果、ばく露から30年以上が経過した平成15年に悪性腹膜中皮腫を発症し、同年に被災者は亡くなりました。

令和3年に、たまたま知り合いの弁護士から紹介を受けて、遺族から委任され、工場型(泉南型)の国家賠償請求訴訟を提起しました。

 

訴訟に先立ち、弁護団内部でも提訴の可否を検討し、先行する鉄道車両関係の被災者の事例を比較検討したうえで、訴訟に踏み切りました。訴訟手続においては、国から①被災者の具体的な作業内容と②局所排気装置を設置することにより相当程度被害の発生を防止できたかどうかを明らかにするよう求められましたので、被災者と同時期に同じ職場で働いていた実弟の協力を得て、陳述書を提出するとともに、弁護団に蓄積されている今までの主張・証拠を再構成する形で提出しました。

なお、作業内容については、車両の製造会社にも照会しましたが、直接雇用ではなかったため、回答は得られませんでした。

 

こうした主張・立証の結果、和解成立に至りました。

当弁護団では鉄道車両関係の工場型和解は本件で9件目です。これだけ和解を重ねられているのは、個々の事件ごとの立証の工夫はもちろんのこと、同種作業の被災者の事件を今まで複数、扱ってきた実績が主張・立証に活かされているためだと思います。

電車関係に限られませんが、石綿関連疾患を発症された方、お心当たりのある方はお気軽にお問い合わせください。

 

(執筆担当:弁護士 岡 正人)

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