労災認定を受けていない一人親方の大工について、建設アスベスト給付金が認定された事例(情報提供サービスを利用せず、通常請求によって認定された事例)
2023.04.03被災者Aさんは、昭和35年から平成12年まで、一人親方の大工として就労し、平成27年に悪性胸膜中皮腫を発症して、わずか数ヶ月で命を落とされました。
Aさんの妻は、Aさんの中皮腫による死亡について、環境再生保全機構に申請し、石綿健康被害救済法(以下「石綿救済法」)の認定を受けていました。なお、Aさんは、一人親方労災保険には特別加入していませんでした。
妻から大阪アスベスト弁護団にご依頼があり、令和4年3月に建設アスベスト給付金の通常請求用の請求書を提出。
その後、複数回にわたり、厚生労働省から、Aさんの「建設業務に関する従事歴を証明する書類」として、請負契約書、領収書、施工記録、税務申告書等の追加資料の提出を求められました。
しかし、Aさんが大工を引退してからすでに20年以上が経過し、関係書類はほとんど廃棄されていました。
それでも諦めず、妻や子どもが自宅をくまなく探した結果、「屋号入りのゴム印」、「請負代金の領収書」、「建設業退職金共済手帳」や「未回収の請負代金について作成された公正証書」が見つかりました。Aさん名義の「銀行口座の取引履歴」を入手したところ、請負代金が振り込まれていたことも確認できました。
さらに、弁護士を通じて「建設国民健康保険組合(建設国保)の加入証明書」を取り寄せ、提出しました。
これらが決め手となり、請求から認定まで9ヶ月の審査期間を経て、令和4年12月に給付金認定がなされました。
なお、Aさんのご遺族は、給付金請求と並行して、建材メーカーに対する訴訟も提起しています。
Aさんのケースのように、労災認定を受けておらず、環境再生保全機構による石綿救済法の認定を受けている場合でも、建設作業に従事していた方やそのご遺族は、給付金が請求できる場合があります。
もっとも、労災認定を受けていない一人親方や個人事業主、ご遺族が請求する際の手続・資料収集は必ずしも容易ではありません。特に、現役を引退して何年も経っている場合、建設業務に関する書類がほとんど残されていないことが多く、どんな資料が証拠となるのかについて、専門的な知識や経験が必要な場合もあります。
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(執筆担当:弁護士 藤原智絵)
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