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保温材から発散した石綿ばく露事案で和解成立

2022.07.01

2022年6月16日、大阪地方裁判所において、広島県三原市にあった帝人の工場で下請会社の配管工として働き、その後、悪性胸膜中皮腫で死亡した男性の遺族と、国との間で和解が成立しました。

アスベスト規制の遅れを国が謝罪し、慰謝料1300万円を含む損害賠償をするという内容です。

 

配管工であった故Iさんは、1962年から1989年までの約27年間、帝人構内で、下請会社の従業員として配管の取付け、撤去、交換といった作業に従事しました。当時同工場はナイロン製造の主力工場の一つでしたが、紡糸工程に、原料から作ったチップを溶融機で加熱するというものがあります。

溶融機は「ダウサムボックス」と呼ばれる箱に入っていましたが、高温となるその周囲には、アスベストを含む保温材が巻いてありました。Iさんは溶融機に接続する配管の交換作業に従事した際などに、ダウサムボックスに巻かれた保温材から発散したアスベスト粉じんにばく露したものと考えられます。

 

Iさんは退職して20年以上経った2020年、悪性胸膜中皮腫の診断を受け、併せて労災の認定もされましたが、2021年4月にこの病気で亡くなりました。

今回の訴訟は、私たち大阪アスベスト弁護団も携わった建設アスベスト訴訟の最高裁判決(同年5月)の報道を見た遺族から電話相談を受け、調査、訴訟提起へと進んだものです。

アスベスト被害は建設現場に限られず、その原因の特定には、経験豊富な専門家の力がとても有効です。ご相談は大阪アスベスト弁護団(0120-966-329)まで。

 

 

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