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循環用送風機の製造での石綿ばく露事案で和解成立

2022.04.18

S工業で、1964年~1974年の約10年間、炉の循環用送風機の製造に携わり、約40年後に悪性胸膜中皮腫を発症され、2017年5月に亡くなられた被害者の事案において、2022年4月、ご遺族と国との間で、国が総額1430万円を支払う旨の和解が成立しました。

炉内部の熱源は1カ所しかないため、炉全体に均等に熱を行き渡らせるために、炉の上部には炉内部の空気を循環させる送風機が設置されています。ところが、炉の上部と送風機が接する場所が高温となることから、炉と接する送風機の部分に断熱、防音のために当時は石綿が使用され、被害者は、送風機を製造する工程で、この石綿を詰める作業もしていました。

石綿を詰める作業は、工場の決まった場所で行われていましたので、そこに局所排気装置を設置すれば、被害者の石綿粉じんへのばく露を防ぐことができました。

以上のことを、送風機の製造工程に関する聴取書や送風機の設計図面、工場内部の図面、さらに当時の工場の写真等を使って立証することで、国との間で和解することができました。

送風機の製造に携わっていた労働者の被害は初めてのケースですので、ご紹介します。

 

(執筆担当者:弁護士 村松昭夫)

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