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高校時代にアルバイトで麻袋再生作業に従事した被害者について和解成立

2022.01.13

 当弁護団では、2020年7月に、石綿の入った麻袋(ドンゴロス)再生作業に従事した方々5名について国との和解が成立していましたが、この際の被害者の一人の息子さんについても、2021年12月9日、新たに和解が成立しました。

 

 被害者(息子さん)は、高校時代に、夏休みなどの長期の休みの間、父親や祖父のところでアルバイトとして働き、石綿が入っていた麻袋(ドンゴロス)をふるったり、切り裂いたり、テープ状にした麻袋を巻き取る作業をしていました。高校卒業後は、全く別の仕事に就いていましたが、高校時代の作業が原因で肺がんを発症し、2018(平成30)年5月に67歳で亡くなられました。

 被害者の高校時代の就労状況については何も記録が残っておらず、労災認定もなかったため(石綿救済法の認定のみ)、被害者が国の責任期間内に労働者として働いていたことの立証が必要となりました。弁護団では、被害者の叔母と妹の陳述書を提出し、更には、妹の証人尋問を法廷で行うことで、被害者が祖父や父の工場で働き、アルバイト料を得ていたことを立証しました。

 これによって、国が和解に応じ、遺族らに対して慰謝料約1300万円、弁護士費用約130万円の合計約1430万円が支払われることになりました。

 

 国との和解協議においては、就労状況についての裏付けが必要となります。当弁護団では親族や同僚などの関係者に聞き取りを行い、陳述書その他の資料を証拠として提出しており、それでも国が和解に応じない場合は、必要に応じて証人尋問も行います。このような立証活動により、本件のように高校時代のアルバイトにより石綿にばく露した被害者についても、和解成立に至っています。

 

 (執筆担当者:弁護士 小林邦子)

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