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ゼネコンの表彰状が唯一の客観的資料であった塗装工について、建設アスベスト給付金が認められた事例

2026.03.18

Oさんは、長年一人親方の塗装工として働き、びまん性胸膜肥厚を発症しました。平成23年に当弁護団がご依頼を受け、環境再生保全機構による石綿健康被害救済法の認定を受けましたが、平成26年に亡くなられました。

 

令和5年、Oさんの妻からご依頼を受け、建設アスベスト給付金の請求を行いました。

Oさんには、一緒に働いた同僚等は誰もおらず、会社での年金加入歴もありません。妻もOさんの仕事のことは何も知らず、Oさんの具体的な作業内容はほとんどわかりませんでした。

唯一の客観的資料として、「(株)K工業所 O殿」宛のゼネコンからの表彰状3枚がありました。表彰状は災害防止に関するもので、現場名の記載もあり、これによりOさんが建設作業に従事していたことは確認できましたが、これだけではOさんが塗装工事をしていたのかどうかすら分かりませんでした。

そこで、(株)K工業所の商業登記簿謄本を取り寄せ、同社が塗装工事業を目的とする会社であったことを証明。しかし、同社はすでに廃業しており代表者とも連絡が取れず、Oさんの作業内容について具体的な証明は得られませんでした。

また、ゼネコンにも表彰状のコピーを送って問い合わせましたが、25年以上も前の現場の作業員名簿は残っていないとの回答で、Oさんが塗装工事に従事したことの証明は得られませんでした。

 

もう一つの手がかりとして、平成23年の石綿健康被害救済法申請にあたって、弁護士が作成したOさんの職歴一覧表がありました。

職歴一覧表には、Oさんが塗装工として従事した現場名や所在地、会社名(Oさんが仕事をもらっていた取引先)が記載されており、(株)K工業所や表彰状の現場名も記載されていました。

しかし、Oさんが仕事をもらっていた(株)K工業所以外の会社に問い合わせてみても、40~50年も前の下請けの職人のことは分からないとの回答で、やはりOさんが塗装工事に従事したことの証明は得られませんでした。

 

客観的資料としては、ゼネコンの表彰状しかありませんが、商業登記簿謄本や職歴一覧表の記載も踏まえれば、Oさんが塗装工事に従事していたことは明らかです。

そこで、代理人としては、考えられる調査はすべてやり尽くし、これ以上の証明は困難であること、審査方針に基づけば、塗装工であった以上、屋内作業に従事していたと判断できるはずである旨の報告書を提出。

当初の請求から約2年後、無事、建設アスベスト給付金が認定されました。

 

ご遺族の方で、生前の被災者の作業内容をあまりよく知らない、あるいは石綿健康被害救済法の認定のみで労災認定が下りていないため、手持ちの資料がほとんどないというケースでも、わずかな手がかりから調査を広げることで、給付金の認定を得ることができる場合があります。

 

手元にあまり資料も残っていないし建設アスベスト給付金を請求できるのだろうか……など、迷った場合は、当弁護団までお気軽にご相談ください。 

 

※Oさんのケースで実際に提出した報告書はこちらをご覧ください(一部省略・仮名)。

 

                                                 (執筆担当:弁護士 伊藤明子)

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