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電気炉の補修作業に従事し、工場型アスベスト訴訟において国と和解した事例

2026.01.26

■事案の概要

Aさんは、1959(昭和34)年から1973(昭和48)年まで、特殊な金属の製鋼を行うB社の製鋼課に所属し、製鋼工場内の電気炉の補修作業に従事しました。その際、電気炉の設備冷却用ホース等に保温材として巻かれた被覆テープに石綿が含まれており、傷んだテープを巻き直す際に出る石綿粉じんにばく露しました。

Aさんは、2020(令和2)年6月に悪性胸膜中皮腫を発症し、2021(令和3)年1月に労災認定を受けて治療を受けていましたが、同年10月に亡くなりました。

その後、ご遺族から依頼を受け、2023(令和5)年12月、悪性胸膜中皮腫によって死亡したことについて、国に慰謝料(損害賠償)を求める裁判(工場型アスベスト訴訟)を提起し、2025(令和7)年9月に和解が成立しました。

 

■国の不当な求釈明・主張と原告側の反論・対応

提訴後、国は、局所排気装置を設置することにより石綿粉じんばく露を相当程度防ぐことができたのかどうかを明らかにすべきと主張し、石綿を含む被覆テープが巻かれているホースがどの程度あり、ホースの全体に石綿を含む被覆テープが巻かれていたのか一部に巻かれていたのか、石綿粉じんの発散源が固定しているのか定かでないと主張しました。その上で、Aさんが被覆テープを切断・加工し、設備冷却用ホースに巻き直す作業を行った場所が実際に固定されていたのかどうか等について、元同僚等の陳述書等による釈明を求めてきました。

これに対し、原告側では、泉南アスベスト国賠訴訟の判決を踏まえ、石綿粉じんの発生源が、実際の事実として固定されていたか否かを問わず、固定しようと思えば固定することができ、仮定的に固定された作業場所において、換気作業台方式による局所排気装置の設置により石綿粉じんばく露を相当程度防ぐことができたという事実を主張立証すれば足りると反論しました。

また、Aさんの元同僚等は既に亡くなっていて見つからなかったことから、B社の社史にあった電気炉の図面等を引用しながら、被覆テープの使用状況やAさんの補修作業内容、さらには換気作業台方式によって石綿粉じんばく露を相当程度防ぐことができたことを立証して、国へ早期の和解を迫りました。

しかし、国は、Aさんの具体的な作業内容が不明で、被覆テープの切断がどこで行われ、どのように補修作業が行われていたのか、被覆テープの切断作業の場所は決められていたのか、被覆テープは持ち運び可能な大きさの形状であったのか等について明かでないとして、更なる詳細な釈明を求めてきました。

国の求釈明は、必要以上に細かく具体的な立証を求めるものでしたが、私たち弁護団は、早期和解のために、できる限りの立証を行う方針です。

そこで、原告側は、Aさんのご子息と繋がりのあったB社の社員を通して、B社に対し社史等を引用しながら当時の設備冷却用ホースに巻かれた被覆テープがどこでどのように修繕されていたと思われるか、書面によって丁寧に質問したところ、回答が得られ、国と和解することができました。

 

■大阪アスベスト弁護団には工場型和解の豊富な知見があります

Aさんのように、50年近く前の石綿ばく露の場合、元同僚等も亡くなっており、具体的な作業内容や作業現場の立証が困難なこともあります。

私たち弁護団は、泉南アスベスト国賠訴訟の最高裁判決を勝ち取った後、全国で約1000件余りの工場型アスベスト訴訟のうち270件近くを担当しています。豊富な経験と知識があるため、Aさんのように一見困難に見える事案で和解に至ったケースも多数あります。

アスベスト被害の補償・救済は、是非、大阪アスベスト弁護団にご相談ください。

 

(執筆担当:弁護士 足立敦史)

 

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