メーカーが謝罪と解決金、関西建設アスベスト訴訟で大規模和解 - 大阪アスベスト弁護団

メーカーが謝罪と解決金、関西建設アスベスト訴訟で大規模和解

2025.08.08

 関西建設アスベスト大阪2陣・3陣訴訟は、2025年8月8日、大阪高等裁判所第5民事部(徳岡由美子裁判長)において、被害者・遺族と被告建材メーカー21社との間で和解が成立しました。2023年6月の大阪地方裁判所の判決で損害賠償責任が認められた12社が、被害者67人について解決金総額約12億4600万円を支払うほか、10社が謝罪し、責任が認められなかった9社を含む全21社が哀悼とお見舞いの意を表するなどの内容であり、全面解決に向け、1陣訴訟最高裁判決(2021年5月)以来の大きな前進となります。

 

 以下、本日発表した声明です。

 

 

声  明

関西建設アスベスト大阪2陣・3陣訴訟の和解解決について

 

2025(令和7)年8月8日 

 

関西建設アスベスト大阪訴訟原告団・弁護団 

関西建設アスベスト訴訟統一本部 

 

1 本日、関西建設アスベスト大阪2陣・3陣訴訟は、控訴審(大阪高等裁判所第5民事部(徳岡由美子裁判長))において、一審被告建材メーカーらとの間で和解が成立しました。本和解は、2025(令和7)年2月18日に裁判所が和解案を提示した後、5ヶ月あまりにわたって和解協議が進められた結果、一審原告及び一審被告双方が、既に多くの被災者が亡くなっていることなど現下の過酷な実態を直視して厳粛に受け止め、また本件訴訟の審理段階も踏まえ、紛争の早期解決の観点から和解するに至ったものです。

  本和解は、建設アスベスト訴訟における多数の被災者(一審原告)と建材メーカーらの集団的な和解解決であり、前日(8月7日)には、並行して和解協議が進められてきた首都圏建設アスベスト東京1陣訴訟及び同2陣訴訟も和解が成立しています。今回の東京と大阪の集団的な和解解決によって、全国の関連訴訟の被災者の内約3割強の和解救済が実現したことになります。

 

2 本和解では、被災者73名中67名に対し、一審被告建材メーカー12社(ノザワ、エーアンドエーマテリアル、エム・エム・ケイ、ニチアス、太平洋セメント、日本インシュレーション、パナソニック、日東紡績、大建工業、神島化学工業、日鉄ケミカル&マテリアル、積水化学工業)の責任を認め、解決金として総額12億4675万9980円を支払うことが合意されました。

  また、責任が認められなかった9社を含む全ての一審被告建材メーカーらが一審原告らの「石綿関連疾患を原因とする死亡や甚大な身体的・精神的苦痛に対し、心より哀悼とお見舞いの意を表」し、責任が認められた一審被告建材メーカーのうち10社が解決金を支払うべき対象原告らに対し「当該被災者らに石綿関連疾患による被害を生じさせたことについて、深くお詫び」しました。

  さらには、裁判所より、「同種の訴訟を始め関連する事案において、双方が今後とも引き続き、解決に向けた着実かつ真摯な努力を継続することを強く期待する」との所感が示されました。

 

3 本和解は、2023(令和5)年6月30日に言い渡された地裁判決(以下、「原判決」という。)の判断をさらに前進させ、上記12社の責任を一層明確にするものです。

  すなわち、責任の始期を早めるなど救済対象を広げ、石綿関連疾患により死亡した被災者の基準慰謝料額を2950万円とするなどアスベスト被害の深刻さを受け止めた原判決の判断を維持し、加えて、原判決では主要原因建材が被災者に到達したとは認められないとして請求が棄却された被災者3名についても一審被告建材メーカーらの責任を認め、被災者7名については一審被告建材メーカーらの責任割合を原判決から引き上げるなど、被害と加害の実態に基づき被災者の救済を図ったものといえます。

  なにより、今回の和解解決は、長らく争う姿勢を取り続け、話し合いのテーブルに着こうとさえしてこなかった一審被告建材メーカーらとの間で和解に至ったこと自体が画期的であり、アスベスト被害者の全面救済に向けて大きな前進です。本訴訟は、2016(平成28)年の提訴後約9年が経過し、被災者77名(うち4名については訴訟終了)のうち既に60名が亡くなっています(うち提訴後に亡くなった被災者は30名に及ぶ)。一審原告らと一審被告建材メーカーらが、このような過酷な実態を正面から受け止め、裁判所の具体的な和解案の提示と粘り強い和解協議を経て被害の早期救済の一点で一致し、集団的な和解解決に至った意義は大きいといえます。

 

4 一方で、本和解では、原判決と同様に、外装材を取り扱う職種の被災者や改修・解体作業関係に従事した被災者計6名について、一審被告建材メーカーらの責任が否定されました。

  一審原告らは紛争の早期解決のために和解案を受け入れたものの、上記各被災者らについて一審被告建材メーカーらの責任が認められないことは理不尽であり、被害救済に分断を招くものであって承服することはできません。原告団・弁護団は、外装材を取り扱う職種や改修・解体作業従事者に対する一審被告建材メーカーらの責任を認めさせ、全ての被災者の救済に向けて取り組みを続けていきます。

 

5 建設アスベスト訴訟は、大阪4陣、5陣訴訟をはじめ、全国各地で多数の原告らが現在も救済を求めて裁判闘争を続けています。原告団・弁護団は、建材メーカーらに対し、東京高裁と大阪高裁において連続で和解解決に至ったことや上記裁判所の所感を真摯に受け止め、全ての建設アスベスト訴訟の早期全面解決に向けて、今後も引き続き原告らとの協議に応じるよう強く求めます。

  さらには、本和解で責任が認められた上記12社はもちろんのこと、石綿建材を製造販売していたすべての建材メーカーらは、建設アスベスト被害の全面救済へ向けて「建設アスベスト被害補償基金制度」(仮称)に資金拠出をすべきです。

 

6 私たちは、アスベスト被害の救済と根絶のため、全国の被災者、支援者、市民らと連帯して、決意を新たに引き続き尽力いたします。また、建設アスベスト訴訟の早期全面解決と基金制度の創設による建設アスベスト被害者の救済に向けて、広く支援と協力を呼びかけていきます。

以上

 

私たちにご相談下さい。
アスベスト被害に関するご相談は無料です。

アスベスト被害ホットライン

0120-966-329

(平日の10時~18時)

折り返し、
弁護士が直接ご連絡します。

  • 私たちは建設アスベスト訴訟を提起・追行し、最高裁で賠償・救済を勝ち取りました。
  • 詳しく見る >
  • 国から賠償金を受け取れる場合があります。
    アスベスト訴訟の和解手続は、最高裁判決を勝ち取った私たちにお任せ下さい。

私たちにご相談下さい。アスベスト被害に関するご相談は無料です。

ご相談はLINE・メール・お電話から
受け付けています。

  • メール

    無料相談
  • 電話

    アスベスト被害ホットライン 0120-966-329

    ( 平日の10時~18時 )

  • LINEお友達登録