建設アスベスト給付金不認定決定を受け、国賠訴訟を提起 - 大阪アスベスト弁護団

建設アスベスト給付金不認定決定を受け、国賠訴訟を提起

2025.07.04

2025年6月27日、建設アスベスト給付金を請求し、十分な資料を提出したにもかかわらず、具体的な理由も示されないまま不認定とされたAさんが、国に損害賠償を求めて大阪地裁に提訴しました。

 

Aさんは、1970年から2001年まで31年間、トラック運転手として石綿建材の搬送業務に従事し、搬送先の建物内などで石綿粉じんにばく露。2020年に肺がんを発症し、環境再生保全機構による石綿健康被害救済法の認定を受けました。

2022年11月に建設アスベスト給付金を請求し、同業者の証明書や運送会社のパンフレットなどを提出しましたが、追加資料を求められ、当弁護団に相談。弁護団では、Aさんの作業内容や現場リストを含めた詳細な陳述書を作成し、搬送先の建物内で石綿建材を切断していた大工の証明書、同種事件の裁判例(大阪2陣訴訟でのトラック運転手と国との和解例)も提出しました。

ところが、請求から2年2ヶ月以上経った2025年1月、認定審査会は、Aさんの給付金請求を不認定としました。不認定決定通知書には結論しか書かれておらず、不認定と判断された理由は分かりませんでした。

 

建設アスベスト給付金制度は、2021年の最高裁判決において、国の責任が認められたことに鑑み、同様の被害者・遺族について、「損害の迅速な賠償を図るため」の制度として創設されたものです。

そのため、認定審査会の審査方針は「具体的な判断にあたっては、特に就労歴や喫煙の習慣等について、その立証が容易でない場合も想定されるので、同種事件の裁判例も踏まえて、関係者の証言や申述等の内容が、当時の社会状況や被災者が置かれていた状況、収集した資料等から考えて、明らかに不合理でない場合には柔軟に事実を認定する」としています。

一般に、何十年も昔の事実を立証するのは困難であること、また、国には加害者としての責任があることを踏まえ、裁判の場合と比べて、被害者側の立証のハードルをかなり低く設定したものです。

 

しかし、特に一人親方や個人事業主が請求したケースでは、必要以上に厳格な証明を求められ、審理が長期化したり、理由提示もないまま不認定とされるなど、運用上の問題点が顕在化しています。繰り返し追加資料を求められた結果、請求を断念し、取下げに至るケースもあると考えられます。

 

Aさんは、「裁判を起こすことが望みではない。これからも同じような被害者が出てくると思うので、国には責任をもってスムーズに解決してほしい」と述べました。

 

国に対しては、Aさんについて、速やかに訴訟上の和解に応じ、慰謝料の支払いを求めると同時に、本訴訟を契機に、建設アスベスト給付金制度の厳しすぎる運用を見直し、審査方針に従った事実認定・判断を行うよう求めます。

 

 

○毎日新聞:「建設石綿給付金」不支給で国賠提訴へ 全国初 「迅速救済を無視」

 https://mainichi.jp/articles/20250625/k00/00m/040/349000c

○毎日新聞:「建設石綿給付金」不支給が急増 専門家「審査の簡素、透明化を」

 https://mainichi.jp/articles/20250625/k00/00m/040/350000c

○NHK 関西 NEWS WEB:建設アスベスト給付金不認定で元トラック運転手が国を提訴

 https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20250627/2000094928.html

○MBSNEWS:アスベストで肺がん発症したのに“給付金が支給されなかったのは不当” 大阪府内の男性が国に損害賠償を求め提訴

 https://www.mbs.jp/news/kansainews/20250627/GE00066757.shtml

○関西テレビ:建設アスベスト健康被害の元トラック運転手男性 給付金の不認定めぐり 全国初の国に対して賠償訴訟

 https://www.fnn.jp/articles/-/893879#goog_rewarded

○ABCニュース:「工事現場のアスベストでがん発症」給付金申請も支給されず 男性が国に賠償求め提訴

 https://news.yahoo.co.jp/articles/f1e07c3a389c4a1b82f0760f306eb9c216f582ae

○毎日新聞:石綿給付金不支給で提訴 元搬送業者 国に1150万円賠償求める /大阪

 https://mainichi.jp/articles/20250628/ddl/k27/040/217000c

○朝日新聞:建設アスベスト給付金、不支給は「趣旨を没却」 賠償求め初の提訴

 https://www.asahi.com/articles/AST6W2QV6T6WPTIL004M.html

○産経新聞:石綿で肺がん発症も被害者救済の給付金支給されず国提訴 建設現場の元搬送業者、大阪地裁

 https://www.sankei.com/article/20250627-6EG2Z2VQSJPNHO6U4LCCZUCUWI/

 

 

 

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