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国責任「28日間」塗料製造会社就労中の石綿にばく露で国と和解

2024.11.06

塗料の製造会社に就労中、石綿粉じんにばく露して悪性胸膜中皮腫を発症し亡くなったAさんの遺族と国との間で、2024(令和6)年10月、和解が成立しました。
Aさんが石綿を含む製品を取り扱い始めたのは、1971(昭和46)年4月1日のことです。過去の最高裁判決から、工場型の石綿被害について国が責任を負うのは同年4月28日までとされているため、Aさんとの関係で国が責任を負うのはわずか4週間という事案でした。

Aさんは1957(昭和32)年から1999(平成11)年まで、塗料等の製造販売を営む会社の工場に勤務しました。入社当初は塗料の製造に従事していましたが、1971(昭和46)年4月1日からは、塗り板(塗料の見本板)を作る部署に在籍しました。この塗り板には当時、石綿を含む「スレート板」が用いられており、Aさん自身もマスクをしないままこれを切断したり、研磨したりすることがありました。

Aさんはこれらの作業で飛散した石綿の粉じんにばく露し、50年以上経った2022(令和4)年、中皮腫を発症したのです。Aさんは2023(令和5)年、中皮腫で亡くなりました。

遺族からの相談を受けた当弁護団は、生前Aさんが労災認定された際の資料や、同種事例の裁判例等も検討し、2024(令和6)年4月、大阪地方裁判所に訴えを起こしました。結果、国は提訴から約半年という比較的早期に、中皮腫で亡くなった被災者に支払われる慰謝料額を同様にAさん遺族にも支払うことで、和解に応じました。

石綿被害についての工場型国賠訴訟では、一定の期間に、石綿粉じんにばく露する作業に従事したことを裁判所に対し立証することが、何より大切です。就労先が石綿と一見関係なさそう、救済対象となる期間に当たるのだろうか…。最高裁判決を勝ち取り、和解事例を積み上げて救済の範囲を広げてきた当弁護団に、まずはご相談ください。

(執筆担当:弁護士 江藤深)

 

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