工場型アスベスト国賠訴訟において、クレーンのブレーキ調整作業などに従事した被災者の遺族と国との和解が成立
2024.10.29メッキ工場に勤務し、クレーンのブレーキ調整などの作業に従事していた被災者Aさんの遺族と国との間で和解が成立しました。
Aさんは、高度成長期から長期間、メッキ工場において、クレーンのブレーキ調整、保守点検等の作業に従事し、その際石綿粉じんにばく露し、その後、アスベストが原因の肺がんにより、亡くなりました。
令和4年12月、アスベストの電話相談で被災者のご遺族(子どもさん)から相談を受けたのがきっかけでした。その後、開示された労災資料の検討等をした上で、当弁護団が受任し、工場型の国家賠償請求訴訟を提起しました。
提訴前、弁護団内で検討しました。メッキ工場で被災された方は当弁護団で初めてでしたし、元同僚の方々も亡くなっており、労災の資料だけでは現場の状況がよくわかりませんでした。でも、Aさんの親族であるBさんが元同僚だったことが判明しました。早速、社会保険の被保険者記録を調べてもらいました。年金事務所では一度は該当なしと言われましたが、担当弁護士があるアドバイスをすると、厚生年金の記録が出てきました。
提訴にあたって、Bさんから工場の状況を詳細に聴き取りし、工場内の図を書いてもらいました。また、工場の工程を勉強するべく、弁護団のツテで別のメッキ工場に見学にも行った上で、Bさん名義の陳述書を準備しました。裁判が始まった後、国から①被災者の具体的な作業内容と②局所排気装置を設置することにより相当程度被害の発生を防止できたかどうかを明らかにするよう求められると、すぐにBさんの陳述書に基づく回答を書面で提出。提訴から9カ月、3回の期日で速やかに和解成立に至りました。
前例のない事件であっても、弁護団の豊富な経験を活かし、しっかりと準備をしたことにより、救済が実現したものといえます。
石綿関連疾患を発症された方、お心当たりのある方はお気軽にお問い合わせください。
(執筆担当:弁護士 奥田愼吾)
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