65年以上前の造船所での保温作業について工場型和解が成立
2024.10.02令和6年7月19日、大阪地方裁判所において、船舶の保温作業に従事していた被災者Aさんのびまん性胸膜肥厚による死亡について、遺族と国との和解が成立しました。
被災者Aさんは、昭和31年10月から昭和34年9月までの2年11か月間、兵庫県相生市にある播磨造船所内で、船舶に保温材を取り付ける作業を請け負っている会社に勤務していました。
工場型(泉南型)アスベスト国賠訴訟の和解手続により救済されるためには、工場内において、アスベスト粉じんにばく露する作業に従事していたこと等の立証が必要です。
しかし、被災者Aさんはすでに亡くなっており、労災記録からは、船舶に保温材を取り付ける作業の詳細が分かりませんでした。
そのため、今回の裁判では、当時の船舶の製造工程において、船舶に取り付けるための保温材が切断されていた場所や作業状況についての調査が必要になりました。
担当弁護士が、播磨造船所のドックの場所を確認したうえ、被災者Aさんの勤務先会社を訪ねて作業内容を聴き取りしたところ、切断機で保温材を切断していたことが分かりました。
また、地元の図書館に播磨造船所の資料があると目星を付け、遺族にドックの配置図のコピーを取り寄せてもらいました。
幸い、被災者Aさんと同じ職場で働いていたBさんが協力してくれることになり、造船所のドック内で船舶が組み立てられ、船舶内の配管、ボイラー等に石綿を含有した保温材が取り付けられていたことや、造船所のドック近くに保温材を加工するための工場があり、その工場内で保温材を切断し、船舶内に持ち込んでいたこと等が分かりました。
Bさんにドックの配置図を見てもらい、Aさんが働いていた場所を特定することができました。
担当弁護士はBさんの「陳述書」を作成し、これを証拠として裁判所に提出した結果、65年以上も前のことですが、被災者Aさんが、当時、造船所の工場内でアスベストを含有する保温材を切断機で切断する作業に従事し、アスベストの粉じんにばく露したことが立証できました。
工場型アスベスト国賠訴訟では、50年以上も前の作業状況等を立証しなければなりません。
私たち大阪アスベスト弁護団では、困難なケースでも簡単には諦めず、解決へ向けてできる限り手を尽くします。
石綿ばく露作業の具体的状況が分からないという場合も、多くの実績がある当弁護団に相談されることをおすすめします。
(執筆担当:弁護士 坂東大士)
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