旧三好石綿(現エム・エム・ケイ)で働いた方が肺がんで死亡し、安全配慮義務違反に基づく使用者企業の責任が認められた事案(賠償額約2670万円)
2023.09.252023(令和5)年9月20日、さいたま地裁(田中秀幸裁判長)は、建材メーカーである「エム・エム・ケイ」に対し、石綿工場で働き、肺がんで亡くなった元労働者の遺族に対し、約2670万円の損害賠償を認める判決を言い渡しました。
被害者Aさんは、1955(昭和30)4月から1959(昭和34)年8月まで旧三好石綿大阪工場(泉南市)で石綿紡織品の製造作業に従事。2019(令和元)年7月に肺がんとびまん性胸膜肥厚の診断を受け、同年9月に肺がんで亡くなりました。80歳でした。
Aさんの遺族は、国に対する工場型国賠訴訟により和解金1300万円を受領。
その後、使用者企業であったエム・エム・ケイに対し、安全配慮義務違反による損害賠償を求める裁判を起こしていました。
さいたま地裁判決は、「石綿製品の製造を専門的に取り扱い、日本石綿協会にも属する株式会社であった」ことにも照らせば、エム・エム・ケイは、国と同様、1958(昭和33)年5月26日時点において、石綿による健康被害の危険性を「当然認識することができ、かつ認識すべきであった」と認定。
同日以降、Aさんが働いていた期間は1年3か月と短期間でしたが、判決は「それ自体で石綿粉じんばく露による石綿関連疾患を発症させる危険を有する行為であった」と指摘し、エム・エム・ケイの減額の主張を認めませんでした。
その上で、死亡慰謝料2300万円に加え、遺族固有慰謝料200万円、葬儀費用、逸失利益の損害が発生したと認め、国からの和解金を差し引いた残額約2670万円の支払いを命じました。
エム・エム・ケイは、建設アスベスト訴訟でも自社の責任を認めず、裁判で争いを続けています。古くから石綿の危険性を熟知していたエム・エム・ケイは、工場型、建設型を問わず、速やかかつ適切にアスベスト被害者に賠償すべきです。
なお、この裁判は、埼玉アスベスト弁護団が担当しています。
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