アスベスト含有建材を運搬していた運転手について、国と和解が成立した事例(建設アスベスト訴訟) - 大阪アスベスト弁護団

アスベスト含有建材を運搬していた運転手について、国と和解が成立した事例(建設アスベスト訴訟)

2023.06.19

1 事案の概要

被災者Aさんは、昭和57年から平成15年までの約25年間、大手建材メーカーM社から建材の運送を専属的に請け負っていた会社で、トラック運転手として勤務しました。

Aさんは、M社が製造したアスベスト含有建材をトラックに積み込み、指定された建設現場や建材店まで運送し、これらの現場に建材を運び込む作業を行っていました。

Aさんが運送していた建材には、製造段階から細かなくずが大量に付着し、積み卸しの際には建材そのものから粉じんが激しく舞っており、Aさんはこの建材に付着した石綿粉じんにばく露しました。また、建設現場に建材を運び込む作業の際、その場で大工や内装工が建材の切断作業等を行っていたため、そこから出る大量の石綿粉じんにもばく露しました。

Aさんは、平成28年に悪性胸膜中皮腫と診断され、令和3年10月、当弁護団が担当する建設アスベスト訴訟の原告となり、国と建材メーカーを相手に提訴をしました。

 

2 和解に向けた活動

令和3年5月17日の最高裁判決後、各地の地裁・高裁に係属していた建設アスベスト訴訟の原告らについても、国との間での和解による解決が目指されました。

Aさんの場合、建設現場の指示された場所に建材を運送して下ろす作業はしていたものの、他の建設作業に従事された方とは異なり、建設作業そのものには従事していませんでした。しかし、この建材の運び入れ作業とそこでの間接曝露を丁寧に主張立証した結果、令和4年6月、最高裁判決と同基準での和解が成立しました。

和解成立の数ヶ月前に62歳の若さで亡くなられたAさん。遺族の方がそのご遺志を引継ぎ、少なくとも国との訴訟は解決に至りました。

 

3 おわりに

建設アスベスト給付金法2条も、建設・解体等の作業そのものだけでなく、これらの作業の準備や付随する業務も救済対象としています。

Aさんと同じように建設現場に出入りしていた建材運送業者の方や、建設作業に関わるその他の作業に従事してアスベスト被害に遭われた方は、ぜひ一度当弁護団にご相談ください。

 

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